オーナーからの相談が増えています
オーナーからの相談が増えています
オーナーは取引先でなく労働者
朝日新聞に掲載されたオーナー問題の記事
クリーニングのオーナー制とは?
オーナー制を採用するクリーニング会社が増えています。大手クリーニング会社は、一つの工場が、10軒程度の取次店の品を扱って成り立っています。大きい会社であれば10工場に100軒を越える取次店があります。このように大手クリーニング会社は一社でたくさんの店舗を持っています。
それらの店舗は、通常受付店員を雇って営業していますが、ちょっと前からそれぞれの店舗に「オーナー」をおき、営業することが多くなりました。「オーナー」とは、労働者ではなく「取引先」といいう扱いで、会社と契約し、受付の仕事をします。報酬は売上から歩合で支払われます。
オーナー制の矛盾
しかし、オーナーの仕事は会社が契約した店舗で会社の決めた価格で会社のルールにのっとって仕事をします。全く会社の言うとおりの仕事しかしていません。一般に取引先といえば、会社と対等な立場ですが、クリーニングのオーナーは明らかに会社の下という位置づけです。
オーナー制は労働基準法逃れ?
結局、クリーニングのオーナー制は労働基準法逃れの側面が大変強いやり方です。会社とオーナーの信頼関係がない場合には、ただ会社に有利な方法に他なりません。
新型コロナウィルスの流行以降、当NPOに各クリーニング会社のオーナーからの相談が増えています。コロナで売り上げが低迷し、収入が減っているのに、会社は条件を厳しくしているような事が多くなっているようです。また、オーナーは「取引先」のはずなのに、まるで部下のように見下して暴言を浴びせられるという相談も多くなっています。従業員でないからパワハラOKなどということはありません。
取引先でありながら、やっている事はほぼ100%従業員と同じ・・・。これではオーナー制はやはり、ブラックな会社の労働基準法逃れの手段としか考えられません。
いろいろなオーナー制
皆さんからいただく情報を見ておりますと、クリーニングのオーナー制といってもいろいろなあり方があるようです。ここではそれらをまとめてみましょう。
〇低価格の店
ワイシャツが100円前後のような低価格の店があります。こういうお店は仕事量が猛烈に多くなり、オーナーの仕事も激務になります。低価格店にオーナーはなじみません。
〇すべてオーナー任せ
何もかもオーナー任せにする会社もあります。オーナーといっても実質は主婦とかシングルマザーである場合が多く、経営者ではありません。全部任せるような会社はお勧めできません。休みたいとき、会社から店員を派遣してくれるような会社ならいいです。
〇テナント店
クリーニングは以前からスーパーマーケットなどの商業施設のテナントに入っていることが多く、ここでオーナーが配置されることがあります。スーパーは営業に当たっていろいろ制約がありますが、それをみなオーナーがかぶっていたら大変です。
〇異常な経費節減
店舗に電話がなかったり、オーナーの駐車料金を取る会社があります。ひどいところになると、ボールペン一本すらけちる会社もあります。あまりにも条件が悪いところはオーナーになるべきではありません。
〇契約が1年おき!
会社とオーナーは契約書を交わして仕事が始まるのですが、契約はおおよそ3~5年くらいが相場です。それを1年おきに契約するという会社もあります。いつでもやめさせたいような意向があるようで、こんな契約はNGでしょう。
〇オーナーに紛失品を賠償させる
クリーニングは紛失などの賠償が生じることがあります。会社によっては、かなり賠償が多くなるところもあります。それをオーナーに負担させられたのではたまりません。オーナーに責任があったとしても、よほどのことがない限りオーナーに賠償させるのはやめてほしいものです。
オーナーの団体を
オーナー制については、現在行政などにも相談し、問題解決を進めております。
これだけ日本中の多くの方々から相談が来るというのは、やはりクリーニングのオーナー制は大きな問題を抱えているといわざるを得ません。ここは各社のオーナーがお互い相談するなどして情報共有し、よりよいあり方を模索していくしかないでしょう。いろんなご意見をうかがって、各オーナーが安心して仕事ができるよう、オーナーの集まりのような集団を作ることも考えています。皆さんからのご意見をお待ちしています。