オーナー制はクリーニングの奴隷制度か?

クリーニング業界を席巻する「オーナー制」

 オーナー制はクリーニングの奴隷制度か?

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 全国に受付をするクリーニング店は10万軒近くある(写真はイメージです)。

 現在のクリーニング会社では、零細な業者を除き、どこかに生産効率の高い工場を建て、その周辺に受付だけをするクリーニング店を約10店舗程度営業する方式が主流である。各店舗には会社から雇われた従業員が店員として働いているが、この店員を、「オーナー」とするクリーニング業者が増えている。会社が抱える店舗を独立採算制とし、それぞれにオーナーを置き、売り上げの中から歩合で支払うという方式である。

 このやり方は20年ほど前から広まった。会社の中で優秀な店員をオーナーにし、店舗を任せれば、賃金が歩合で支払われ、頑張れば頑張るほど手取りが多くなる。会社も売り上げが上がり、オーナーも手取りが増えるので、お互いがウィンウィンの関係を築けるというわけだ。多くのクリーニング業者がこれを採用し、オーナー制の店舗が増えた。ネットで「クリーニング オーナー制度」と検索すると募集サイトがたくさん出てくる。

 しかし、近年はこのオーナー制を巡りトラブルが増えている。調子のいい宣伝文句につられてオーナーになったが、連日働かされ、全然休めないという人も増えた。近年、当NPOにもこのオーナーからの相談が増えている。オーナー制の問題について詳しく説明したい。

 

オーナー制の登場

 クリーニング業は、かつて店舗と作業場が一体だった。外交もあったが、クリーニング店は店を構え、そこに客が品を持ち込んでいた。職人の時代にはそれが普通だった。

 東京オリンピック(1964年)当たりからクリーニング業界にも変革が起こり、生産性の高い機械が開発され「大手」が登場した。大手業者は工場を建て、その周囲に「取次店」を次々とオープンさせて品を集めた。日本のクリーニング業界は一つの工場で、多くの取次店から集められた品をさばき、また各店に搬送するというスタイルが定着した。取次店は当初、既存の商店や一般家庭を改築してその建物の持ち主が店員となる委託スタイルだったが、クリーニング会社が自社物件に自社店員を配置する「直営店」が主流になった。店員達はほとんどがクリーニング会社の従業員だった。

 近年になり、各クリーニング店の店員を「オーナー」にして、各店を独立採算にする方式が広まった。当初は会社に勤務する店員の中でも優秀な人をオーナーに推薦していたが、現在では最初からオーナーとして募集する方式も登場した。オーナーへの報酬は固定給でなく、売上から歩合で支払われる。オーナー制は、以下のようなメリットがある。

○やる気のある人は収入が増えるので、売上の増進につながる。

○人の手配をオーナーにゆだねるので、人事上の手間が省ける。

○オーナーは労働者ではなく取引先という扱いになるので、労働基準法の摘要がなくなる

 このように会社にとっては大変メリットが大きく、実力のある店員にとっては収入増加につながるので、各業者が採用している。以前は既に店員として就労している従業員をオーナーにしていたが、最近では最初からオーナーとして募集している会社も出てきている。

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 子育てなど将来の問題を考え、オーナーを選ぶ人は多い。しかし、安直にできるものではない。

 

問題が続出するオーナー制

 しかし、クリーニングのオーナー制を巡っては様々なトラブルが発生しており、当NPOへの相談も多い。オーナー制を健全に運営している会社とそうでない会社がある。当方への相談は、このようなものである。

●広告を見て募集したが、説明されたような収入がなかった。これなら普通にパートで働いた方がマシ。

●品質が悪く、苦情が多くて困っている。

●こちらに責任がないに、紛失品を自腹で弁償させられた。

●契約期間が短く、更改時に解除されそうで怖い。

●募集しているが人が集まらず、休みがほとんどない。毎日遅くまで働かされている。

●毎月会社の会議に出席させられ、成績が悪いと罵倒され、パワハラがひどい。

 相談を聞く限り、内容はブラック企業のそれである。どうやらクリーニングのオーナー制については、健全な会社は別として、社会的に問題のある労働法を守らない会社が、労働法逃れのために採用している現実があるようだ。

 オーナー制の実態は、「労働基準法が適用されない労働者」といえる。同様な問題はコンビニ業界などでも聞かれるが、クリーニング店は基本的に一人で受付を行い、会社とも個人で契約している。オーナー募集も通常の求人募集に広告が載っている。コンビニのように既存の店舗と契約するものではない。これではあまりに気の毒である。

 オーナー制そのものは悪くないが、責任を立場の弱い店員にほとんど押しつけてしまう、労働基準法が適用されない(表面的には)などの点から、ブラック企業に利用されやすいシステムといえる。特に、クリーニングのブラック企業は工場に異常な生産性を要求し、なおかつ作業員の待遇が悪い場合が多いので、悪い品質の責任をオーナーが取らされる、という二重苦に苦しめられることになる。

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 クリーニングの受付はそんなに簡単ではない。少しばかり研修をする程度ではできない。ましてや、低価格の安売り店はおおむね仕事量が極端に多く、消費者の苦情も少なくない。安直にできるものではない(写真はイメージです)。

 

労働基準法は適用されるか

 クリーニング会社が労働基準法の適用を逃れるために採用しているような実例の多い「オーナー制」だが、現実に労働法に該当しないのだろうか?

 労働法によれば、労働提供の形態が「指揮監督下の労働」であり、報酬が提供された労務に対するものであるか否かの二つの基準(使用従属性)により労働者かそうでないかが判断されるという。

 「指揮監督下の労働」の判断基準として、仕事の諾否の自由の有無、業務内容および遂行方法に対する指揮命令の有無、場所及び時間の拘束性の有無、代替性の有無などがあげられる。「報酬の労務対償性」の判断基準は労務提供の時間に比例した対価か否かがあげられる。

 そのほか、機械、器具等はどちらが負担しているか、独自の称号を有するか、専属性の有無なども労働者性の判断基準となる。

 それではクリーニング店のオーナーがどのような状況で業務しているかといえば、以下のような特性が挙げられる。

◎オーナーは会社と契約し、営業を行う。

◎営業方法やノウハウはすべて会社が指導する。他から習うことはない。

◎屋号はかならず会社が決め、オーナーが自分で決めることはできない。

◎営業時間、休日、受付方法、価格などはすべて会社が決める。

◎店舗はすべて会社が所有しているか、会社が第三者から借りたものである。

◎オーナーはすべて個別に会社と契約し、集団で契約することはない。

◎宣伝、セール、販売企画などもすべて会社が決定し、オーナーはそれに従う。

◎一般の従業員と同じように会議に出席させられ、ノルマなどをいわれる。

 このように、オーナーはすべて会社の方針に従い、明らかに会社に従属している。よってオーナーは独立した存在とは言いがたく、労働法が適用される可能性は極めて高い。オーナーを好きなように扱って、なおかつ労働法の適用を受けないなどということはあり得ない。

 

ぜひ御相談を

 最近、オーナー制に関する相談が増えている。うまくやっているところと、そうでないところが極端に二分されるようでもある。オーナー制というシステムを、ブラック企業に悪用されている印象がある。この制度に応募したオーナー達が、現在も苦しんでいる状況がある。オーナー制については、次のようなことに注意されたい。

◎やたらと安いクリーニング店は、業務がやたらと多く、苦労されられる。低価格業者のオーナーは注意が必要である。

◎安いだけでなく、一年中セールをする、加工製品が多い、やたら変なノルマが多いなど、仕事の負担の多い会社もあるので注意。

◎年収400万は確実、最低保障○○○など、甘い言葉に注意!

◎店員が力を付けて、やがてオーナーになるのが一般的。最初からオーナーで募集するようなやり方には注意が必要。十分な研修をしていないと、トラブル対応などができず、いい受付ができない。

◎ブラックなクリーニング業者は、従業員やオーナーに横の連絡をされるのを嫌う。無謀な仕事をさせているので、業界のおおよその「標準」を知られたくないのである。いやに秘密主義な会社は避けるべきである。

◎クリーニングに関しては、会社の規模は何も関係がない。悪いことをして大きくなったブラック企業もある。経営者の顔が見えない、どこにいるのかわからない等の場合はやめた方がいい。

◎オーナー制の普及に連れ、当業界でオーナーと呼ばれる人は増加している。仲間が多くなっているのは強みでもある。労働組合なども、この状況には注目している。現在すでにオーナーをしている方も、いろいろ方法があるので相談下さい。

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 全国にクリーニング店のオーナーはたくさんいる。一人で悩まず、情報を共有することが重要

一人で悩まないことが大切です。

 


 


 

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