もし、「会社を辞めて、うちに来ませんか」とスカウトされたら?

もし、「会社を辞めて、うちに来ませんか」とスカウトされたら?

 引き抜きA

クリーニングのスカウト

クリーニング店に勤務し、店員をしていると、まれに、他のクリーニング会社の人物がやってくることがあります。そういう場合、たいていは客を装って預かり店数などの調査、スパイ活動をしている場合が多いのですが、中には、なんと、「うちに来ませんか」と店員をスカウトするような人もいます。 

 スカウトに来る人物はたいてい他社のマネージャーで、店員達の管理を行っている人たちです。彼女ら(女性が多い)は、言葉巧みに転職を促します。「うちは大きい会社だから、安定している」、「うちは東京の基準で給料を払っている」、こんなことを言われると、もしかしたら、私も考えてみようかしらと迷う人が出てくるかも知れません。

 

引き抜きはブラック企業がすること

 しかし、よく考えてください。そういうマネージャーは、なぜ他の会社の店にやってきてまでスカウトしようとするのでしょうか?それは、自分の会社が人手不足だからです。こういう会社は職場環境が最悪で、バタバタと人が辞めていくために慢性的な人手不足状態が続いており通常の募集では悪評が立っていて人が集まらず、ついには他社にまで行って募集するのです。こういう会社はたいてい一年中セールをしている安売り会社で、店員さんの仕事は他社よりもはるかに多く、転職したら必ず後悔します。時給が上がっても、作業量が多く、残業代も払わないなど、時間当たりで計算するとむしろ下がります

 

おすすめできません

 そういう会社では、人が足りないとマネージャー自身が店舗で受付をさせられます。それがいやでマネージャー達はスカウトをしているのです。当NPOにも転職を勧誘されている店員さんから「どうしたらいいかしら」と相談が来ますが、こちらで聞く限り、スカウトを迫るような会社はみんな評判の良くない会社で、たいていお勧めできませんとお答えしています。甘い誘いにうっかり乗って転職したものの、前の職場よりも猛烈に激務ですぐに辞め、前の会社にも戻れず困った、となったら大変です。

 

大企業のヘッドハンティングとは別物

 大企業にはヘッドハンティングというものがあり、才能のある社員を他社が引き抜くこと事はありますが、これは待遇をはるかに良くするなど有能な人のステップアップが約束されている場合であり、クリーニングで一般の店員を人手不足を理由に引き抜くなどという行為とは全く違います。クリーニングの引き抜きは、ヘッドハンティングとは別物です。

 

会社ぐるみの場合も

 同業他社にまで行って人を引き抜こうとするような会社は、あまりにもモラル違反で、こちらで知る限り、ほんの少しの業者しか行っていないようですが、価格が安く、一年中セールを行い、たくさん集めないとやっていけないような会社がそういう行為に手を染めているようです。また、マネージャーが独断でやっているわけではなく、複数のマネージャー達が同じように手を染めているようで、そうなると会社ぐるみでやっていることになります。さながら霊感商法などを行う宗教団体のようですが、そういう会社は自分たちも職場環境が悪いことを知っていて、仕方がないから他社から引き抜くしかないと思っているようです。

 

詐欺みたいなもの

 本来、同業他社の従業員を引き抜くなどという行為は恥知らずであり、恥ずかしい行為です。普通のクリーニング会社ならまずそんなことはしません。モラル違反を会社ぐるみでしなければならないほど、その会社は追い詰められているともいえます。低価格でセールばかり、工場は一年中納期遅れで店員は毎日客に謝らされ、紛失などがあったときは従業員が自腹で弁償させられる・・・これでは働き続ける方が不思議で、人がバタバタ辞め、だからあなたをスカウトに来るのです。まあ、詐欺みたいなものです。

 

移りたいときには自分の意志で

 しかし、逆にブラックな会社で働いている人もいます。そういうところでは、あまりにも厳しすぎて会社を移りたいと考える人はいるでしょう。価格がやたらと安い、よく辞める人が多い、労働基準法を守っているとは思えない、売り上げが低いと残業代を払わないなどという会社は考えた方がいいでしょう。特に、当NPOがたびたびお伝えしているように、品の紛失やミスが発生したとき、社員やパートに自腹で払わせるような会社は紛れもないブラック企業ですので、むしろ早めに辞めた方がいいでしょう。いずれにせよ、会社を移るときには自分の意志で行うことが重要です。

 

 他社からのスカウトには乗らない方が無難です。

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