ブラック企業で働き続ける必要はありません
きちんとした職場で働きましょう
クリーニング会社が代わった人の話
当NPOに以前から相談をしていた店員さんがいました。その会社は、残業代を払わない、ちょっとしたことで本部から文句を付けられる、やたらと反省文を書かされる、ミスすると自腹で弁償させられるなどと、あまりにもひどいブラック企業でした。会社に意見をしようとしても、本社はとても遠いところにあり、何も言えないような状況でした。
しかし、この会社はこの店員さんのいる街から撤退することになり、他のクリーニング会社に工場や店が譲渡され、店員さんは違うクリーニング会社で店員の仕事を続けることになりました。すると、前の会社とはガラリと変わりました。残業代は支払われるようになり、以前のような職場のギスギス感がなくなり、急に働きやすい職場になりました。この方は「会社が替わって、本当に良かった」と喜んでいます。
クリーニングにも、いろんな会社がある
日本には約24000軒のクリーニング所(クリーニングの作業をしている場所)、80000軒を超えるクリーニング店舗がありますが、一見同じように見えるクリーニング店を運営する会社には、実は大きな違いがあります。一般的な会社運営を行っているところなら問題ありませんが、当NPOのHPを見ていただければわかるとおり、勢いだけで大きくなった会社、個人経営の感覚で大きな会社を運営する経営者、法律を全く守らない会社なども見かけられます。
クリーニング会社は、みな同じではありません。様々な職場があります。また、クリーニング業の特色として、規模が大きいから、有名なスーパーに入っているからいい会社ということも決してありません。その地域では有名な会社であっても、世間からブラック企業と呼ばれている会社もあります。働く人はよく考えなければなりません。あまりにも職場環境が悪いなら、先に紹介した店員さんのように、他の会社に移ることも考えるべきでしょう。
ひろゆき氏の話 この世で一番有害なものはブラック企業
実業家、著述家として知られる、有名なひろゆき氏は、この世で一番有害なものは「ブラック企業」だといいます。
ひろゆき氏はブラック企業とは、従業員やアルバイトの「やりがい」や「時間」を搾取して、安い給料でお客さんに高いサービスを提供させたり、長時間労働させたりして、「経営者だけ」がお金持ちになる企業のこと、と定義しています。こういうことを聞くと、確かにクリーニング会社には、ワイシャツを100円前後など安くして、その分従業員への給料を安く抑えているところがたくさんあります。そして、ここが大切なのですが、従業員への待遇を抑え、経営者だけが金持ちになるのがブラック企業だといっています。やたら安い値段で客を集め、働く人たちを冷遇し、自分だけ贅沢しているような社長がいる会社がブラック企業です。いわれてみれば、なるほど思い当たるフシはあります。
そしてひろゆき氏は、ブラック企業をやっつける方法はたった1つしかない。それは、従業員が一斉に辞めることだといいます。従業員が大量に辞めてしまえば、経営者は嫌でも高い給料を出さざるを得なくなるし、労務環境も改善に乗り出すでしょう。
しかし、現状は、搾取され続けたまま働いている人が圧倒的に多いことをひろゆき氏は嘆いています。日本人の勤勉さが、悪い奴らを逆に助けてしまっているのです。日本でブラック企業という言葉が生まれたのも、逆に見ればそんな職場でも働き続ける奇特な人たちがたくさんいるからでしょう。
しかし、働いているあなたが、ブラック企業に協力する必要はありません。
あなたの会社は?
では、どんな会社が良くないのでしょうか?クリーニングの世界でありがちなブラックな問題を列記してみましょう。
〇やたらと値段が安い
日本のクリーニングは半世紀以上価格競争の続いている業界です。価格が安いと、一つの商品からの利幅が少なくなり、たくさん集めないと利益が出ません。こういう職場は現場の労働者により多くの仕事を強要するようになり、自転車操業状態となって働いている人たちの負担がどんどん大きくなり、職場環境は悪くなります。ライバルが安いから、こっちもより安くするといった子供の喧嘩感覚で値段を決められていたのでは困ります。
〇一年中セールをしている
毎月のようにチラシを撒き、一年中半額セールをしている会社があります。こういう会社は価格が安くなるので従業員の負担が多くなり、価格が安いのと同様でつらい職場になります。また、ほとんどの品を半額で預かるような行為は景品表示法違反の恐れがあります。
〇夜中まで残業する日がある
クリーニングの工場設備は会社によってかなり違います。洗濯機や乾燥機の容量が極端に少ない会社がありますが、そういう会社では設備が足りないために慢性的に残業になります。従業員を夜中まで働かせて平気でいるような経営者は異常です。従業員のことを全く考えていない証拠です。
〇なんでもコロナのせいにする
新型コロナウイルスを流行してから、クリーニング業界は大きな打撃を受け、どこの業者も苦しい運営をしています。しかし、だからといって法律が変わったわけではありません。コロナだから、残業代無し、コロナだから、店員の他に工場作業もやれとか、なんでもコロナのせいにする会社は問題です。
〇残業代を払わない
クリーニングの職場で多く見かけるのが、この「残業代を払わない」です。当NPOに寄せられる相談の多くが労働問題ですが、その中で最も多いのが残業代未払いなのです。クリーニングという仕事の性格上、繁忙期と閑散期があり、年間で仕事の量がかなり変わるのに、残業が発生しないわけはありません。こんな会社はアウトです。
〇有休が取れない
近年、各職場で、有給を年に5日以上取らせることが義務づけられました。にもかかわらず、全く有給のない会社とか、すごいのは雇用保険に入ってない会社もありました。長時間働いているのに半年間も社会保険に入れなかったという会社もありました。労働法を根底から無視するような会社には早めに見切りを付けた方がいいでしょう。
〇金の亡者のような社長がやっている
一般に働いている人たちはなかなかわからないでしょうが、クリーニング業界には、本当に金儲けしか考えていない経営者がいます。当NPOを開設し、皆さんからの相談を受け付けるようになってから、労働組合との接点も生まれ、こういう業者が結構いることがわかりました。業界団体の会合にいつも顔を出すような経営者はまず問題ありませんが、ブラック企業だらけのグループを作ったり、そういう業者だけで付き合っているような人もいます。そういう人たちは業界以外の、地域社会とのつながりもありません。違法行為もお構いなしで、まるで裏社会の住人です。教養や品格とは無縁の、反社会的な経営者の会社では何一ついいことはありません。
〇ミスや弁償があると、従業員に自腹で弁償させる
クリーニング業界でも特にひどいブラック企業では、各店舗で品が紛失すると、なんと店員が自腹で弁償させられていると聞き、驚いたことがありました。しかし、当NPOの活動を続けていると、そういうとんでもない会社が一つや二つではないことがわかってきました。
これは日本のクリーニング業界の、最も恥ずべきことです。最低賃金に近い時給で働かせている従業員に、誰の責任であれ故意にやったわけではないミスの賠償をやらせるなど、まさに「金の亡者のような社長」がやっている会社に他なりません。こんな会社は一刻も早く辞めて、他の会社に移るべきでしょう。
あなたの職場はいくつ当てはまりますか?
〇やたらと値段が安い
〇一年中セールをしている
〇夜中まで残業する日がある
〇なんでもコロナのせいにする
〇残業代を払わない
〇有休が取れない
〇金の亡者のような社長がやっている
〇ミスや弁償があると、従業員に自腹で弁償させる
4つ以上当てはまるようなら、迷わず職場を変えましょう。特に最後の、自腹で弁償させるような会社は、絶対にいるべきではありません。