東京ドーム借りても足りない!保管クリーニングがウソである決定的証拠

東京ドーム借りても足りない!

保管クリーニングがインチキである決定的証拠

クリーニング講習会教則本

クリーニング業務従事者講習教本にも登場する保管クリーニングのトラブル

 大手ならどこもやっている保管クリーニング

 当NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートは、クリーニング業界で流行している「保管クリーニング」に関して、4月に預かって閑散期の8、9月まで汚れた衣料品を放置し、何ヶ月も洗わないことは衣料品にとって非常に悪影響があり、止めるべきであると主張している。

 9月12日、雑誌AERAのWEB版が保管クリーニングの実態を報じ、ある程度はこの実態が一般に伝わったのではないかと感じている。

 しかしながら、クリーニング業界ではこの報道があっても何事もなかったかのように同じような「いつまでも洗わない」保管クリーニングを継続している。これは、業界にあまりにも浸透していて、問題があるやり方であっても止められなくなっているからである。

 保管クリーニングについては2017年にも同じように報道されており、このときもクリーニング業界は全体でダンマリを決め込み、話題にしなくなっている。何ヶ月も衣料品を洗わずにいて、衣料品にいいわけがない。本当にこのようなやり方は止めてほしいものである。

 保管クリーニングについては、倉庫業を本業とする業者が預かった衣料品をクリーニング店に外注するようなやり方もある。このやり方なら問題がないので、保管クリーニングを利用する顧客は、こういう業者であれば大丈夫だ。

「保管クリーニング」は洗わず放置されている? 「カビ」が生え「シワ」だらけの実態を業者が告発 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)

 

 マスコミが報じた保管クリーニングの実態

 

マスコミは証拠がないと書かない

 今回の報道では、2年前の10月後半、3つのクリーニング会社に、テレビで何度も紹介されたような保管クリーニング業者から連絡があり、下請けをして欲しいと頼まれたことがあった。いずれもカビだらけ、シワだらけの未処理衣料品で、いつまでも洗っていないことは明白だった。このような方々が証人となったおかげで問題が報道された経緯がある。

 クリーニング業者であれば、保管クリーニングがすぐに洗わないものであることがわかるが、マスコミは確実な証拠がなければ動かない。2017年のときにも摘発された会社に内部告発者がいて発覚したものである。なにしろ秘密の多い業界だし、建築基準法違反なども業界を挙げて隠蔽するので、マスコミに書いてもらうのも一苦労である。

 クリーニングは多くの人々が利用する職業なので、やはりマスコミにその実態を報道してもらうのがいいのだが、厚生労働省認可の団体でも違法操業する業者が多いような状況なので、なかなかハードルが高いという問題がある。

 

計算してみると、東京ドーム借りても足りない!

 しかしこの保管クリーニング、よく計算してみると、絶対保管などしていないということがよくわかる。このサービスを利用する客は「最初に洗って、後は保管しているのだろう」と思っているが、そんなことは絶対できないことがわかる。

 保管クリーニングは大手だとみな1億円以上の売上があるという。関係者に聞くと、保管クリーニングは春先の時期に集中して宅配業者が洗濯物を運んで来るという。利用者は1年に1度しかクリーニングを利用しないようなタイプの人が多いらしい。普段は家庭で洗える衣料品を着ていて、冬物だけはクリーニング業者に頼むという人はいるだろう。その需要は結構あるという。ただ、一度にドドッと運ばれてくるから置き場所を用意しないとならない。が必要だ。1億円の売上があると、洗濯物を洗わず置いておくだけでも150坪の置き場所が必要だそうだ。実際、売上1億だとして単価が1000円くらいだから、10万点の洗濯物がやってくることになる。そうなったらぎゅうぎゅう積み重ねてもそのくらいの倉庫は必要だろう。

 ここからが、ぜひ知っていただきたい。

 では、顧客が思っているとおり、本当に「最初に洗って、保管しておく」のだったら、どのくらいの倉庫が必要だろうか?

 ひと坪(1.8メートル四方)にどのくらいの冬物衣料品を置いておくことができるだろうか?ダウンジャケットとかコートなんかはかさばるので、そんなには置けない。ハンガーにかけて保管したら、ぎゅうぎゅう詰めにしてもひと坪当たりせいぜい50着が限度だろう。通路なども入れたらさらに必要だが、ここでは無視することにする。この計算で10万着の冬物衣料を収納したら、倉庫は2000坪必要になる。ひと坪は3.31平方メートルだから。平方メートルだと6620平方メートル、これは正方形なら約81メートル四方の倉庫が必要になるわけだ。野球場がちょっと小さくなった程度の広さといえばいいだろう。

 はっきりいって、そんな巨大な倉庫、クリーニング業界で見たことがない!2階建て、3階建てというのもあるが、そんな広い倉庫はこの業界には存在しない。

 さらに、この業界では10億を超える売上を保管クリーニング事業だけで上げている業者もいるという。そうなると、仮に東京ドームを借りても全然足りない!

 保管クリーニングに関しては、4月頃に入荷した洗濯物をすぐに洗わず、ぎゅうぎゅう詰め込んでおくだけでも採算に乗せるのが難しいのに、本当に「まじめ」に最初に洗って保管しておくとすれば、このように膨大な倉庫が必要となり、料金を10倍にしても不可能なのである。 

 別に証拠がなくとも、理論上、本当の意味での保管クリーニングなど不可能であり、カビだらけになった未処理品を置いておくだけでも大変なのである。

 tokyo doom

 

計算すると東京ドームに保管しても間に合わない広さが必要になる。

 

こんなことはもうやめよう

 そして、保管クリーニング事業はほとんど利益にならないという業者も多い。保管クリーニングは、客が利用を希望すればその旨業者にメールかなにかで連絡し、業者は顧客にバッグや伝票などのキットを宅配便で送る。客は洗濯物をバッグに詰めて宅配便で送り、業者は仕上がり品をやはり宅配便で客に送る。計3回も宅配便を使用するので運送料がバカにならない。2024年問題などもあり、運送料はこれからもどんどん上昇するだろう。

 アフィリエイターに払う料金も一回300円かかるそうで、品が一年の春先に集中する点も問題だ。猛烈な量の洗濯物が一度にやってくる。トラック8台分がやってきたりするそうである。洗って保管するどころか、未処理品を雨風から防ぐだけでもかなりの費用がかかる。どこかの倒産した会社の建物などに置いておくのが多いそうだが社長の家、なんてところもあるそうだ。なんともいやなものだろう。

 おまけに、半年近く放置することでかび、虫食いが発生しやすくなり、トラブルが多くなる。顧客への賠償もバカにならない。地球温暖化が進行する現在、以前よりも湿度は高くなっており、カビ、虫食いのリスクは以前よりも多くなっている

 こういうわけで、いつまでも洗わないような、客をだましているようなやり方であっても、結局は儲からない。儲からない仕事を客をだましながら続けているというわけだ。

 当NPOには、顧客からの「引っ越すことになって品を出してくれといったら、どこにあるのかわからないといわれた」などという相談がある。ほとんどの客は洗って保管していると思っているから、実はまだ洗ってないと知ったらクレームになるだろう。とにかくリスクしかない。なんでこんなこと始めたの?と思えるくらいだ。

 業者も利益が出ない上、お客様をだましているこんなやり方は、もうやめるべきだと思うが、いかがだろうか?

 

 

 

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