安売りクリーニングのヒミツ 安売りクリーニング店と普通の店ではどこが違うのか?

安売りクリーニングのヒミツ

安売りクリーニング店と普通の店ではどこが違うのか?

 20241107094715_00001

 円安が一段と進み、世の中は物価高になっています。クリーニングも各社が値上げしていますが、中には今でもワイシャツが100円前後、あるいは90円など、信じられないくらい安い価格のところもあります。

 クリーニングは30年前から価格が変わらない商売だといわれています。しかし、人件費が二倍以上、資材は数倍値上がりしている中で、彼らはなぜ低価格を続けられるのでしょうか?

 安売り店は普通のクリーニング店とどこが違うのか、それを説明してみましょう。当NPOには安売り店を中心とした店員、作業員の方々からたくさん情報が寄せられており、集められた情報から事実が解明されます。

 

1,洗剤、柔軟剤が違う

 クリーニング会社が使用する洗剤や柔軟剤、加工剤はピンからキリまであり、安売り店では当然安いものを使用しています。高いものは天然椰子油などから作り、安いものは石油などが原料です。洗剤が違うと肌触り、風合いが違ってくるほか、ワイシャツの糊などはタピオカ製などの高級品から、石油製の安いものまであります。糊は体に直接触れるので、天然糊の方が体にいいといわれています。洗剤や柔軟剤が違うというのはコインランドリーも同じです。安い洗剤を使用すれば、当然品質も下がります。

 20241107094809_00001a

 

2,検品の行程を省く

 低価格の会社はコストを下げるため、クリーニングの工程を一部はしょります。たとえば、お客様から品を預かったときに店員が品を検品し、配送がそれを工場に運んで工場でまた検品しますが、安売り店では店員が検品したものをそのまま洗います。工場では検品せず、通常は工場で行う仕分け作業も店員の仕事となります。

 クリーニングで大切な工程である検品、仕分けを店員がするのでミスが多くなり、トラブルが多くなる弊害があります。(店員がミスするとペナルティを下され、ひどい場合は弁償までさせられます)

 安い価格で大量の品をさばくのであれば当然作業の簡略化、省力化は極限まで行われ、その対価として品質の悪さ、労働環境の悪化につながります。

 20241107094734_00001a 20241107094751_00001a

 

(安売り店の従業員は徹底的にこき使われるため、疲労が重なってミスが多くなる)

3,理不尽なしみ抜き料金を取る

 これが一番重要です。安売り店で必ずと言っていいほど行われているのが、店員が最初からしみ抜き料金を取る行為です。「うちは単価は安いが、しみ抜き料金で帳尻を合わせている」というクリーニング店もあるほどです。安売り店の店では、店員が最初からしみ抜き料金を取ります。安い料金だけでは採算に合わないので、理不尽なしみ抜き料金を取り、帳尻を合わせているのです。

 しかし、当NPOがいつも主張しているように、シミが落ちるか落ちないか判断できない店員が、最初からしみ抜き料金を取るのはおかしなことです。以前はこんなことはありませんでした。最初からしみ抜き料金を取るのは消費者契約法違反でもあります。こんな理不尽な追加料金を取るのは望ましいことではありません。安い価格を利不正なしみ抜き料金で補うなどという行為はナンセンスです。(こういう裏ノウハウは、安売り業者の間であっという間に広まります)

http://npo.cercle.co.jp/?p=104

(最初からしみ抜き料金を取ることのおかしさを説明するサイト)

 特に最近では、電子決済が多いことを利用し、お客様に「しみ抜き料金が○○円かかります」と告げずにこっそりと追加料金にする手法が密かに流行しており、油断できません。最初からしみ抜き料金を取るのはやめてもらいたいものです。

 20241107094657_00001

 クリーニングは昔から価格競争が激しく、苦しい運営にもかかわらず、安くしないと客を取られると思ってなかなか値段を上げない業者も多くいます。サービスを安く提供するのはいいのですが、現実にはいろいろな問題が起こっているのが現状であり、やはり安売りはこの業界にトラブルをもたらす一番大きな原因になっているように思われます。

 

安いにはワケがある