あなたは知らず知らずのうちに追加料金を取られている

ステルス追加料金に注意 

あなたは知らず知らずのうちに追加料金を取られている!?

 ステルス追加料金A

 お客様が洗濯物をクリーニング店に持ち込むと、受付店員が検品し、シミを見付けるとその場でしみ抜き料金を徴収するクリーニング店があります。店員にはシミが落ちるかどうかわからないし、弁護士に聞いたら消費者契約法違反が疑わしいとのことでしたので当NPOでは「最初からしみ抜き料金を取る行為」に断固反対していますが、最近では現金決済以外の支払いが増えたのを悪用し、とんでもない追加料金の徴収を行っている業者がいます。

 

クリーニングを利用した方からの相談

 先日、当NPOに相談してきた方がいました。この方はワイシャツをクリーニング店に持ち込んだのですが、店員はエリにシミが付いているのを発見し、「しみ抜き付けときますね」といいました。この方は「しみ抜き付けときますね」しか言われなかったので、そういうものかと納得してその後スマホ決済で料金を支払い、帰宅しました。

 その後、クリーニング伝票を見たら、ワイシャツ料金の下に、「しみ抜き 400円」と印字されているのを発見しました。この方は何の説明もなく、勝手に追加料金を取られていたのです。

 当NPOでは相談されたこの方に、最初からしみ抜き料金を取る行為は、たとえ口頭で金額をいったとしても、最初から何の知識もない店員が料金を取るのはおかしいと説明し、さらに何もいわずに追加になっているのであれば、これはもはや悪質であるとお答えしました。

 この方はクリーニング店とやりとりし、しみ抜き料金は返済されましたが、当NPOは、こんなこと(客に料金を告げないでこっそり追加料金を取ること)まで起こるようになったのに愕然としました。

 

1990年代から始まった「最初からしみ抜き料金」

 クリーニングの世界においては、1990年代頃から大店法が改正され、日本中の郊外にスーパーマーケットやショッピングセンターが次々と開店し、その中には必ずといっていいくらいクリーニング店がテナント入店しました。クリーニングの直営店時代が始まったのですが、直営店方式はそれまでの取次店方式とは違い、家賃、人件費などがかかり経営を圧迫しました。そこでこの時代から変な追加料金を取るクリーニング店が増えていきました。最初からしみ抜き料金もその一つで、どこかの業者が最初からしみ抜き料金を顧客から徴収したところ、簡単に取れたので、この方法が業界にあっという間に広まりました。このようにクリーニング業界はこの頃からモラルが低下し、悪いこと、違法なことでも儲かるとなると多くの業者が手を染めてしまう悪い傾向があります。

 店員にはシミが落ちるかどうか判断する力はありません。というより、どのような経緯で付いたシミかわからないのに、一律で料金を取るのはおかしなことです。

 2017年5月、当NPOは「ビートたけしのTVタックル」という番組でこのおかしさを説明し、レギュラーの東国原氏から、「クリーニングを利用すると最初からしみ抜き料金を取られるが落ちていない。これはどういうことなんだ?」と聞かれ、本来おかしいことだと説明し、簡単に落ちるものまで高い金を取るメカニズムを説明したことがあります。それでも、未だに多くの業者がこれを行っているのが現状です。

http://npo.cercle.co.jp/?p=104

(最初からしみ抜き料金を取るおかしさについてはこれをご覧下さい)

 

新しい裏ノウハウか?

 しかし、今までのものは、一応は顧客に料金を告げて、一応は承諾を得てから料金を取るというものでした。今回のは、顧客に料金を告げずにこっそりと追加料金を取るという悪質といってもいいものです。現金だとすぐにわかりますが、スマホ決済などでは伝票をチェックしないとわかりません。

 今回のクリーニング業者はそれほど大きな会社でもなく、こんなことを自分で考えつくようには思えません。これは、クリーニング業界によくある、「裏ノウハウ」である可能性もあります。

 「裏ノウハウ」とは、消費者にばれたらまずいようなやり方を、「業界の秘密」にして多くの業者がこっそりとやることです。こういったしみ抜き料金とか本当は保管していない(実態は「放置クリーニング」)保管クリーニング等がそれに当たります。顧客がすぐに伝票を見ることはないという点を突いて、こっそり追加料金を取るというのは、ばれたらまずいがみんなで秘密にしようという裏ノウハウの特性に合致しています。

 この業者もどこかでこのやり方を聞いてきて、採用したのかも知れません。そうなると、これは一業者の問題ではありません。こんな詐欺まがいの商法が業界に蔓延していたとすれば大変です。

 

言い訳まで共有?

 今回通報してくれた方は、自分でクリーニング会社に出向き、しみ抜き料金を返還させました。非常に行動力のある立派な方だったのでこういった問題が発覚しました。大変感謝しております。

 この方は、クリーニング業者とのやりとりを詳細に伝えてくれました。そこには当方にとって、驚くべき情報も入っていました。

 当NPOは設立当初から、最初からしみ抜き料金を取る行為をおかしいと考え、やめるべきだと主張しておりました。しかしこのやり方は、すでに業界に蔓延し、多くの業者が手を染めているのが現状です。前述の、「ビートたけしのTVタックル」でこの問題を取り上げたとき、後で反論してきた業者の中にはこんな意見がありました。

「最初からしみ抜き料金を取る行為について、弁護士は消費者契約法違反であるというが、 違法性については明確に違法であると判断がでているのか?

 要するに、この問題は裁判で、どちらが正しいのか判決が出ているのかということです。裁判で判決が出ていないのだから、違法か合法かわからないじゃないかというわけです。

 これでは、新手の詐欺は捕まって裁かれるまでずっと詐欺をやっていいといってるようなものではないでしょうか。クリーニング業者というのは、このように特殊な発想をすることがあります。数百円で裁判を始める人が出てくるとは思えませんから、今後もこの裁判が起こる可能性は低いです。

 ところが、今回、この業者からこの言葉が出てきました。前に聞いたのと全く同じです。これには驚きました。怪しい行為をする業者は、追求されたときにいう言い訳まで共有されているようです。クリーニングの裏組織の結束力には驚くばかりです。ネットで情報を共有してつながっている「トクリュウ」みたいなものでしょうか?

 

ステルス追加料金には気をつけて!

 当NPOは先に述べたように最初から店員がしみ抜き料金を徴収するやり方には大きな矛盾があるので反対してきましたが、これはさらに悪質なやり方です。クリーニングを利用する消費者におかれましては、知らず知らずのうちに追加料金を取る「ステルス追加料金」には十分注意するようにしましょう。

 また、クリーニング業者においても、あまりにモラルに反するやりかたはやめてもらいたいものです。「みんなやっているから」、「値段が安くてしみ抜きでもらえないとやっていけないから」、など、この業界特有の理屈は一般社会には通用しません。

  最初からしみ抜き料金を取る行為はおかしいです。「みんなやっているから」で顧客の利益を不当に奪うのはやめましょう。

(これをご覧になられて、同様な経験をされた方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡下さい)

 ステルス追加料金A

(クリーニング伝票の一部。ワイシャツと料金の下に、「シミ抜き 400」と小さく印字されている