クレーマーに悩まされていませんか?
クリーニング業の大きな問題として、客からのクレームがあります。明らかな店側のミスなら解決しなければなりませんが、最近は理不尽な文句をいうクレーマーが多くなっています。クリーニングの現場では、多くの店員がクレーマーに悩まされているでしょう。
クレームが多いクリーニング業
以前よりクリーニングはクレームが多い業務といわれてきました。かつては高校の教科書にもそのことが書かれていたほどです。クリーニングは顧客の衣料を預かり、お返しする仕事ですので、顧客の考え方、感じ方により、どのようなことでもいえる仕事だからです。「風合いが変わった気がする」、「縮んだ気がする」、「前には付いていなかったシミが付いた」など、クリーニングの店員さんなら誰でもいわれたことがあるでしょう。それだけに、クリーニングを仕事とする人は、クレームに対応する体制を整えておかなければなりません。
クレーマーは業務遂行の大きなマイナス
クレームの中には全く理不尽なものもあり、そういう理不尽な苦情を付けてくるのが「クレーマー」です。
〇仕上がりが気に入らない。買った値段で弁償しろ。
〇何時何分午後11時に説明に来い。
〇自分のスーツが家のタンスにない。そちらの店にあるはずだ。
〇(ものすごくボロボロの古い服を持ち込んで)、これ、新品にしてくれ。
〇詫び状を書け、迷惑料を払え。
〇態度が気に入らない。謝れ。
こんなことを言われたことはないでしょうか?最近ではカスタマーハラスメント(カスハラ)という言葉がよく使われますが、こんなクレーマーがたくさんいたのでは、店員さんは精神を病んでしまいます。
クレーマーは、かつては反社会的勢力のような人たちが多かったのですが、今では年齢、性別、生活水準に関係なくあらゆる層に広がっています。
クレーマーは今や社会問題で、クレーマーが増えるとそのような職業でも業務遂行に支障をきたし、経済社会においても大きなマイナスになります。日本はサービス業の付加価値が低いといわれますが、これは「クレーマー」の存在が原因ではないでしょうか。このため一部では行政にクレーマー対策を申し入れたりする動きもありましたが、「お客様は神様」の風潮が強い日本ではなかなか本格的に対応するムードが生まれません。
「お客様は神様」がクレーマーを生む
海外ではクレーマー問題がこれほど深刻化する傾向はなく、これは日本特有の問題といえます。日本では接客が非常に重要視され、客にへりくだって接するのが当然という風潮があります。客は神様だから、何をしてもいいと思ったクレーマーが理不尽な要求を繰り返すようになり、クレーマーが増えていったのです。まさにクレーマーは「おもてなし」の副産物といえます。
お客様を大切にして、接客が上手なのはいいですが、店員にも人権があり、それを軽視するクレーマーの行為は問題です。
クレーム対応に不誠実なクリーニング業者もいる
クリーニングはどうしてもクレームが付くのが宿命なので、どこのクリーニング会社もクレーム解決に努力していますが、なかにはクレーム処理を店員任せにしているような不真面目な会社もあります。最近は新型コロナウイルスのため、経費節減に力を入れる会社が多くなっています。しかし、過度な経費節減はサービスを低下させ、クレームを招く結果になります。工場に異常な生産性を強要したり、作業を時間内に済ませろ、などと勝手な理屈をいい、残業禁止など理不尽な要求をする会社は結果的に客の苦情が多くなります。また最近、クリーニング業界では「オーナー制」が流行していますが、オーナーになると「取引先」とみなされ、余計にクレームを店舗任せにすることもあり、注意が必要です。
ひどい会社では、事故品、紛失品の賠償まで店員にさせています(これは絶対に許されません)。しかし、こんな会社に限って「クレームゼロの店がある」などとうそぶいています。クレームを店員の責任にする会社は最低です。
これとは別に、クリーニング業者が自らクレーマーになる場合もあります。クリーニング会社に勤務する社員が他の会社のクリーニング店に行き、嫌がらせをする行為も最近聞くようになりました。クレーム解決に努力しなければならないクリーニング会社が自らクレーマーになるのでは話になりません。
このように、会社の姿勢がクレーマーを呼んでいるようなところもあります。働く人はこんな会社を選ぶべきではありません。
クレーマー対策に有効な法律
いつでも怒鳴り続けるような横暴な客に好き放題させてまで売上を上げろ、などというクリーニング会社は、一部のブラック企業以外どこにもないでしょう。長い目で見れば、あまりにもひどいクレーマーは店に来てもらわない方がいいです。受付を断ることは、別に法律には抵触しません。
クレーマーに関連のある法律を列挙します。
威力業務妨害(刑法234条)
店で暴言を吐いたり、怒鳴ったり、暴力を振るったりする行為にはこの威力業務妨害罪が適用される場合があります。最近はどこの店舗にも防犯カメラが付いていますから、あまりひどい場合にはその映像を警察に見せれば、警察からその客が呼び出され注意を受けることもあります。繰り返し行えば逮捕もあり得ます。
偽計業務妨害(刑法233条)
「こんなキズはなかった」、「自分のものと違う」などとウソを言って弁償を迫るような行為は偽計業務妨害(ぎけいぎょうむぼうがい)に当たります。
不退去罪(刑法130条)
店からいつまでも帰らず、帰って下さいといっても留まっているような人がいれば、この不退去罪(ふたいきょざい)に抵触します。同業者の嫌がらせなどにはこの法律で対応しましょう。
強要罪(刑法223条)
客が店員に無理矢理謝らせたり、強引に弁償させたりする行為はこの法律に違反します。かつて衣料品店で店員に土下座を強要し、それをSNSにアップした人物はこの法律で警察から取り調べを受けました。
これらの法律はすべて刑法ですので刑事罰の対象になりますから、連絡先は警察です。
皆さんのお話を聞かせて下さい
お客様を大切にするのは当然ですが、最初から金目当てのクレーマーなどはその範疇ではありません。他の産業ではクレーマーのために精神がおかしくなったり、鬱病になったという話も聞きます。日本の経済にも打撃を与えており、政治や行政ももっとこの問題に真剣に取り組んでもらいたいものです。
クレーマーは店員泣かせの存在ですが、皆さんの中で、クレーマーに困っていたり、会社が対応してくれないようなことがあれば、当NPOにご相談下さい。クリーニングの受付で一番イヤなことはクレームと言いますので、ぜひ経験談やご意見をお聞かせ下さい。
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