怪しげなウイルス対策加工に注意！
ウイルスに効果がある？を謳うクリーニング店
最近、店頭にウイルス対策を宣伝するポスターを貼り、ウイルスに効果があるという宣伝を行うクリーニング店が増えました。新型コロナウイルスの問題が続く現在、それを逆手にとってクリーニング需要を掘り起こそうという取り組みです。どこのクリーニング店も新型コロナウイルスの影響で売上が落ち込んでおり、少しでも挽回しようという気持ちはわかります。
新型コロナウイルスに効果があるのか不明です
新型コロナウイルス対策に手洗いが勧められているように、衣料品を洗うこと自体は予防法の一つとして有効です。しかし、新型コロナウイルスに関しては現時点でワクチンすら開発されていないのが現状であり、新型コロナウイルスに効果のあるクリーニングの加工などは現時点で証明されていません。それをあたかも素晴らしい効果があるように宣伝するのは問題です。
クリーニング業者のおかしな手法
クリーニング業者が行っているおかしな宣伝はいくつかのパターンがあります。
一つ目は、「新型コロナウイルス」とは一言も書かず、単に「抗ウイルス加工」と表記するやり方です。「新型コロナウイルスに効果がある」と書くとウソになるので、何のウイルスかわからないような表示にして、加工を宣伝しています。こういう時期ですから、客は新型コロナウイルスも大丈夫と勘違いする可能性は大きいです。
二つ目は、ウイルスと細菌をごちゃまぜにするやり方です。クリーニング業界では抗菌加工はかなり前から存在するので、それを使用するのです。ウイルスと細菌は別物ですので、これでは効果がありません。「抗ウイルス」を謳いながら資材業者が効果を証明しているサイトを見ると、細菌への効果が書かれていたりします。クリーニング業者がウイルスと細菌の違いを知らないのかも知れません。
三つ目は、新型コロナウイルスの洗浄効果が示された物質などを少しだけ混ぜる方法です。以前よりクリーニング業界で使用されていた逆性石けん（塩化ベンザルコニウム）は経済産業省がコロナウイルスへの効果が証明されています。しかしこれは一定以上の濃度がないと効果が出ません。こういう物質を柔軟剤などにちょっとだけ混ぜている、などとしている業者もいます。これではどう考えても効果があるとは思えません。
こうしてやり方を列記すると、良識と知性に問題を抱えているといわざるを得ません。
クリーニング店で見られた、抗ウイルス加工ののぼり。こんなものが市販されているくらい、業界で流行している。
資材業者のカタログに載っていた抗ウイルス、抗菌の加工済証タグ。こんなものを付けただけでウイルスは大丈夫、などとやられてはたまらない。
おかしな宣伝
クリーニング業界では、以前よりクリーニングした服を着るとそれが遠赤外線を放って健康になるという「健康クリーニング」とか、花粉症に効果があるという「花粉防止加工」とか、東日本大震災のときには「放射能除去クリーニング」などというのも登場しました。いずれも荒唐無稽なものばかりです。おかしな宣伝が多い業界でもあります。
また、クリーニングの加工に関しては店員にどれだけ加工を取るか競わせたり、複数の加工を一着の衣料品に同時に加工したり、以前より単価アップのため追加料金を取るだけではないかと問題視されており、今回も新型コロナウイルスに便乗したやり方とも取れます。以前より業者間の価格競争が激しいクリーニング業界では、安い価格を表示して客を集め、あれやこれやと追加料金を取るトッピング商法が横行し、今回もそういった行為を繰り返してきた業者が取り入れているようにも感じられます。
消費者は注意を
業者の中には、有料で抗ウイルス加工なるものを勧めているところもあります。衣料品をクリーニングすること自体はウイルス対策になりますが、効果不明の加工を有料ですることはいかがなものでしょうか。また、クリーニングを利用されるお客様が、これで新型コロナウイルスも大丈夫と認識するのは危険です。消費者はよく注意をして無駄に追加料金を取られないようにしましょう。
新型コロナウイルスに関しては、こちらのサイトもご覧ください。
http://npo.cercle.co.jp/?p=826