ワイシャツのWクリーニングって本当に効果があるの?

ワイシャツのWクリーニングって本当に効果があるの?

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 (各資材会社が作成するWクリーニングのステッカー。書いてあることには間違いはありません)

広がるWクリーニング

 最近、多くのクリーニング店で、ワイシャツをお客様が持ち込むと、「Wクリーニングはいかがですか?」と勧められるようになりました。承諾すると、追加料金がかかります。しかし、このWクリーニングは本当に効果があるのでしょうか?

注:ここではワイシャツのWクリーニングのみについて話を進めています。一般品のWクリーニングではありません。

 

Wクリーニングとは

 Wクリーニングとは、衣料品をドライクリーニングと水洗い、両方を行うことをいいます。まずドライクリーニングで油性の汚れを落とし、次に水洗いを行います。かつては工業油をたくさん使う工場や自動車整備工場の作業着などに行われていました。油の汚れを落とし、水洗いもするので、汚れがよく落ちます。ワイシャツで最も汚れるのはエリで、次が袖先です。この汚れは人体から出る皮脂が原因なので、油を落とすということでワイシャツにも行われるようになったようです。

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(Wクリーニングのタグやのぼり。既製品があるくらい業界に浸透している)

 

Wクリーニングの疑問

 ただ、ワイシャツにWクリーニングをすることには疑問があります。通常ワイシャツは高い温度(40度~60度)で水洗いし、使用する洗剤も非常に強力なものであり、そこに漂白剤も使用します。わざわざドライクリーニングしなくても、十分汚れは落ちるのです。ドライクリーニングをする必要があるのか疑問です。

 また、現実にエリの汚れたワイシャツをドライクリーニングする実験を行ってみましたが、思ったほどエリの汚れは落ちませんでした。

 エリの汚れが強いときには、わざわざドライクリーニングしなくても、エリに汚れの落ちる助剤(洗剤の力を強くする薬品)を付ける方法があります。ドライクリーニングする必要はないようにも感じられます。

(注:ごく限られた人の中には、脂性で、Wクリーニングがいいという人もいるので、全くこの方法を否定するものではありません)

 

追加料金の手段

 日本のクリーニング業界は、以前より低価格競争が続いており、なかなか料金が上げられません。そこで、いろいろ理屈を付けて追加料金を取ろうという手法が横行しています。理論的に納得のいくものであればいいのですが、意味のない追加料金や、効果が疑問の加工で追加料金が発生するのはおかしいことです。

 Wクリーニングについては、間違いなくドライクリーニングを行うのなら、法に触れることではありませんが、お客様にとって意味のない加工なら、お金を払うことが無駄になります。結局これも、かつてあった「花粉症の方に勧める加工」のようなもので、会社側の単価アップに貢献するばかりで、多くの人々には意味のない加工といえるのではないでしょうか?

(花粉症の方に勧める加工についてはこちら)http://npo.cercle.co.jp/?p=109

 

Wクリーニングを勧められたら・・・

 クリーニング店が預かるワイシャツは、預かり品全体の30%~60%にも及び、預かり品の中では一番多いものです。それだけに、追加料金を取れれば経済効果は高くなり、会社の利益に貢献します。しかし、必要のない加工をされるお客様にとっては迷惑な話です。もし、Wクリーニングを勧められたら、店員に「普通品とどこが違うのか」と質問し、的確に答えられないのならやめた方がいいでしょう。また、複数のワイシャツを持ち込んだ場合には、一枚だけWクリーニングを頼み、仕上がってきた品で違いを確認するのがいいでしょう。あまり違いがないなら、わざわざ追加料金を払わなくてもいいことになります(おそらく大半の方は通常洗いだけでいいでしょう)。

 クリーニング業界では、「この方法は儲かる」となると、それが正しいものかどうかも検証せず、多くの業者が安直に始めてしまう傾向があります。クリーニング業界にはコンサルタントがたくさんいて、こういうことを売上増進の手段として業者に勧めます。ワイシャツのWクリーニングも追加料金の手段としては「最初からシミ抜き料金」並みの経済効果があります。しかし、消費者にとっては意味のないことにお金を払うことになります。消費者は、正しい目を持ってクリーニングをご利用いただきたいと思います

(最初からシミ抜き料金についてはこちら)http://npo.cercle.co.jp/?p=526