花粉症対策加工って本当に効くの?

 毎年春頃になると、花粉症の方は大変です。なんとかして症状を軽くしたいと思うでしょう。ところで、「花粉症対策にどうぞ」として花粉症に効果があるという加工を勧めるクリーニング店があります。「花粉防止加工」、「花粉ガード加工」、「花粉シールド加工」などの名で客に勧めています。

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 この花粉症対策加工はどういう仕組みになっているのでしょうか?調べてみると、花粉が衣類に付きにくくなる加工であることがわかりました。衣料品に薄い膜を張って花粉を付かなくしたり、静電気を防いだりしているのです。

 しかし、こんなことで本当に花粉症の症状を軽減できるのでしょうか?当NPO法人では花粉症に効果があるという薬剤をクリーニング店に販売している二社に連絡し、聞いてみましたが、二社とも「花粉が衣類に付きにくくなる」というだけで、実際に花粉症の人に臨床実験を行ったことはないとのことでした。

 それでは、花粉が衣類に付きにくくなるということは、花粉症の人の症状を軽減できるのでしょうか?これについては医師に質問しましたが、医師の回答は、

 

花粉症の専門家でなくても、常識的に考えて、完全に衣服だけ処理しても無駄なことは明確です。

髪の毛や露出している皮膚など、すべてカバーしなければ意味がありません。

放射線防護と同じ考え方です。

 

 ということで、この様な加工は効果がないという意見をもらいました。

 

 この花粉症加工に関しては、以前よりクリーニング業界内でも疑問の声があり、本当に効果があるのかと話題になったことがあります。すると、そういう業者は「花粉症に効果がある」という表記を「花粉が衣料品に付きにくくなる」などと表現を曖昧にし、現在も続けています。

 本当にこの加工は効果があるのか、花粉症の症状が軽減できるのか、あらためて考える必要があります。現在まで、資材業者もクリーニング業者も、この加工に関し、本当に効果があるのか、花粉症の人の症状を軽減できるのかという問題について、実験結果を公表したところも、実験そのものを行ったという話も、聞いたことがありません。「効果があるのかどうかわからないが、とりあえず商品にして金を取る」という安直な発想の方に問題があるように思われます。