TVタックルに登場-コインランドリー経営の注意
2019年11月17日、当NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート代表は、テレビ朝日系列の番組、「ビートたけしのTVタックル」に出演、最近増えているコインランドリーの窃盗事件などに関して討論しました。
白昼堂々コインランドリーに侵入、バールやサンダーで集中精算機をこじ開け、金を奪う犯罪が発生しています。しかも犯人は同じチェーン店のコインランドリーを一日に三軒もまわり、同じように精算機を破壊しています。あまりに大胆、傍若無人な犯行には驚かされますが、お金が同じ箇所に集中していること、無人であることなどがつけいる隙となったのかも知れません。
コインランドリーのブームは現在も続いており、まだまだ増えています。海外にも以前からコインランドリーはありましたが、日本のものは海外とは事情が違い、寝具を洗うなど、新しい清潔文化を構築しています。その点ではいいのですが、現在の日本ではコインランドリーは「投資の対象」であり、多くの人々が他の投資よりも「利回りがいい」としてこの事業に手を出しています。コインランドリービジネスをお勧めしているコンサルタントも多くなっています。
しかしながら、洗濯機や乾燥機、自動投入される洗剤や柔軟剤にも微妙な性能、品質の差があり、それらは素人にはなかなかわかりません。事業に手を出したが、コンサルの提出した売上シミュレーションには達成しなかったといったトラブルも聞かれるようになりました。同様な店がどんどん増えていることもあります。投資は慎重にすべきでしょう。なお、 当NPOではコインランドリーに関する相談も受け付けています。何か問題を抱えている方はご相談下さい。
コインランドリーは現行のクリーニング業法の管轄外であり、これを縛る具体的な法規がありません。当NPOは労働問題、大手の問題などにまるで対応できないクリーニング関連の法規などを問題視していますが、こんなところにもほころびが感じられます。
「防犯カメラ」が「監視カメラ」に
番組の後半、カメラによる監視社会の問題が話題になったとき、当方はクリーニング業界の問題を発言、「ブラック企業では防犯カメラが監視カメラになっている」とことを説明しました。
これに関しては、2016年、大手クリーニング会社の茨城県の工場で労働組合が立ち上がったとき、組合員の店舗にカメラが取り付けられ、それが動いていたという連絡があり、遠隔操作で店員を監視しているとの情報が寄せられました。固定型の防犯カメラならともかく、方向を動かせるカメラとはどういうことでしょうか?今考えても不思議な話です。
ブラック企業と呼ばれる会社は、会社で行われている不正な行為などを外部に漏らされるのを嫌います。労働組合ができると組合を通じ、それらが漏れる可能性が高くなります。この茨城の件でも、団体交渉で労働問題だけでなく、会社が客に勧める加工が適正化という問題や、工場の生産性が過剰ではないかということまで踏み込まれたため、会社が警戒したのかも知れません。いずれにせよこれでは店員には大きなプレッシャーとなり、新たなハラスメントのようにも感じられます。
当NPOは情報提供者からの連絡によって動くことが多くなっています。残業代の未払い、売上がないと残業代を払わないなど勝手な会社のルール、工場での手抜き、「保管クリーニング」といいながらしばらく倉庫に品を放置して生産調整しているなど過去の事件も、ほとんどはクリーニング会社で働く人たちの連絡によって発覚しています。その意味でこれからも多くの方々に連絡をいただきたいです。
4回目のテレビタックル出演
テレビタックルに出させていいただいたのは今回で4回目です。最初は2017年5月でした。番組製作スタッフが当方のHPを見て連絡をくれました。「やたら安い業種」についての特集で、この時期には格安旅行会社が突然倒産する事件があり、旅行業界やもやし業界とともにクリーニングも選ばれました。
このときにはクリーニング業界は法律などの不備で、半世紀にわたって価格競争が続いている現状を説明、その弊害としておかしな追加料金などの消費者問題、残業時間が月に150時間などの労働問題が発生している事実を話しました。特に、当NPOが以前より主張している「店員が最初からしみ抜き料金を取るのは、洗っただけで落ちるようなシミからも金を取ることになり、矛盾している」という問題については、他の出演者からも話題を振られており、強く説明することになりました。これには多くのクリーニング業者から反響があり、「しみ抜き料金が取りにくくなる」などと反発する人も出てきました。この後、やたらとテレビに「しみ抜き名人」が出るようになったのも、何か関係があるのかも知れません。
その後はコインランドリーについて、あるいはカスタマーハラスメントについての話題でも出ています。
TVタックルという番組は、一応大筋を決めた台本みたいな冊子はあるものの、撮影が始まると出演者がみんな一気に話し出すので、本当に何が飛び出すかわからないところがあります。社会派的な番組ですので私たちのような団体が取り上げてもらえるのは大変嬉しいです。スタッフの方々も大変丁寧に扱ってくれるのも嬉しいです。こういう場を提供していただけることに本当に感謝しております。
業界からは歓迎されない?テレビ露出
ところで、当方がテレビ露出することに関しては、クリーニング業界はほとんど話題にしません。10日に一度発行される業界紙が2紙ありますが、それらも記事にはしません。クリーニング業界でテレビに何度も出る人などそういないのに、です。当NPOはどうも業界からは歓迎されていないようです(全くない、というわけではありません)。
その理由は、クリーニング業界には独特の秘密体質があり、当方がテレビでそれらを暴露するのではないかと心配している人たちが多いからでしょう。それほどクリーニング業界には一般社会に知られていない秘密が多くあるのです。
これまで当NPOが摘発してきたように、低価格業者では消費者を欺くような商法や怪しげなトッピング製品の問題があります。あるいは大量の品をさばくため、労働環境が過酷になり、残業代もまともに払わないなどの労働問題が発生しています。
これは決して大手業者だけの問題ではありません。個人経営の業者においては生衛法による利権の独占などがありますが、特に建築基準法の問題があります。未だに4割強の業者が許可を得ずに住宅地、商業地で使用しており、東京都などは違反業者の方が合法な業者よりも多いといった有り様です。「悪意はない」という方もいますが、この問題が発覚してから10年が過ぎており、業界挙げて何ら改善しないのですから悪くないなどとは到底いえません。
普段の火事が起こらなくても、関東で大地震が発生すると、ドライクリーニング洗濯機に引火して爆発的に燃え上がり、火元になってしまいます。これを放置しているのは明らかに問題です。一時期は多くの業者が使用していたテトラクロロエチレン(通称パーク)による土壌汚染問題も放置されています。
こういった問題があるため、クリーニング業界は業界の状況を知られるのを嫌がります。
ただ、消費者の誰もが利用するような商売で、その中身がわかりにくく、秘密があまりに多いのは困ります。業界が隠蔽体質になると、悪いことをする業者がばれにくくなり、ますます悪くなっていくでしょう。日本は世界一クリーニング需要が多い国で、たくさん品を出してくれるお客様のことを第一に考えるべきでしょう。そうであれば、顧客を騙すような行為、おかしな追加料金はするべきではありません。そういう意味で、当NPOが業界の秘密を暴いていくのは意義のあることでしょう。