引き取りに来ないお客様が多いって本当でしょうか?

引き取りに来ないお客様が多いって本当でしょうか?

 

 9月19日、NHKは7時のニュース及び11時20分頃のニュースで、クリーニング業界に関する話題を放送しました。その後、他の民報も同様の放送を行いました。その内容は、クリーニング店に洗濯物を出し、引き取りに来ない客が大変多いということで、クリーニング業者が大変困っているというものでした。

 これは、厚生労働省認可の全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)がニュースリリースし、各マスコミに報道を依頼したことがわかりました。

 全ク連ニュースレター20170919

 しかし、現在のほとんどのクリーニング店には優れた受付レジがあり、顧客データをしっかり管理しているため、引き取りに来ない方には電話やメールで知らせるシステムが構築されています。市場の8割を占める大手クリーニング業者では、引き取りに来ない品で困っているという現象はまずありません。このような報道はおかしいと思います。 衣料品や顧客情報をきちんと管理していれば、この様な問題は起こりません。

 

 今から30年くらい前には、「引き取りに来ない客がいる」という問題は、多くのクリーニング業者にとってそれなりの問題化ではありました。しかしその後、優れた受付レジの開発や、クイックサービス(即日仕上げ)など発達により、ほぼ確実に顧客に返るようになり、このようなことを問題視している業者はいません。何を今さら、というのが普通のクリーニング業者の印象です。

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(現在、多くのクリーニング店で使用されるレジは優秀であり、引き取りに来ない方には連絡して知らせます)

 

 このように、多くのクリーニング店では、テレビで放送された様なことはほとんどありません。時代遅れのだらしのない、ずさんな業者だけです。それが、どこでもあるように放送されたことは、クリーニング業界を愚弄するものであり、クリーニング業者を低いレベルに貶めたようで、はなはだ不愉快です。

 番組の中では、取材した業者に関して「業界団体」という、曖昧な表現を使っていましたが、それは厚生労働省管轄である全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)であることは明白です。ニュースリリースは名前を隠して出したわけでもないのに、これは不思議です。

 放送では全国の業者にアンケートを採ったとありましたが、それはこの団体に属する個人経営の業者ばかりがアンケートの対象になったのであり、市場の8割を占める大手業者はアンケートに答えていません。「全国の零細業者から採ったアンケート」であり、偏ったデータです。

 全ク連は、昭和32年施行の生衛法により成立した団体ですが、昭和32年はまだクリーニング業界に大手が存在せず、手工業の時代でした。この時代に生同組合ができて、今も存続しています。しかし、現在の市場は大手業者が占めており、全ク連の市場は20%程度に過ぎません。クリーニング業界のほんの一部であり、しかも底辺層なのです。そういうもの、をいかにも業界の標準であるかのようにテレビで報道するのはいかがなものでしょうか?普通の業者からすれば愉快な気はしません。

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(全ク連が作成したポスター)

 

 現在でも、全ク連は行政からは「クリーニング業界の代表」となっており、税金を資金とする助成金などは、この団体にしか流れません。しかし、税金の行き先が「だらしないから金くれ」だったら、誰でも怒るのではないでしょうか?

 2011年の震災の際にも、復興資金がこの団体に流れました。しかし、ずさんな使い方をしたため、週刊ポスト誌に糾弾されました。私たちには、「またか」という印象です。

  報道では、この問題について「国に働きかけ」などとなっていましたが、こんなことで税金が使用されるのはいかがなものでしょうか?

 全ク連は近年、大赤字を計上したこともありました。まさにずさんな団体運営を繁栄するような出来事です。

全ク連の赤字についてはこちら

http://npo.cercle.co.jp/?p=517