全ク連は大赤字!
かなりの赤字となった決算
全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)の機関誌「クリーニング・ニュース」に、全ク連の平成28年度一般会計決算報告が載った。
内容は猛烈な大赤字!こうなることは既にわかっていたが、改めて決算報告を見る限り、無為無策で何の対策も打たれていないことに驚かされる。
組合員数激減の全ク連
昭和32年施行の生衛法によって設立された全ク連は、各都道府県にある傘下の生同組合からの会費収入(上納金)を主な収入源として運営されている。しかし、大手業者を排除するなどしたため会員数が減少し、収入が少なくなっている。特に近年は各組合員の高齢化によって組合員が激減、収入も激減している状況。これを好転させることはまず不可能と思われる。
この貸借対照表でも「当期利益準備金」なる項目がマイナス6千万円。前期繰越利益準備金が7千万円ということで、今年度は遂に赤字に陥る見込み。
変わらない人件費
損益計算書を見ると、会費収入が激減しているのに、人件費が数年来ずっと変わっていない。職員には、70代の、通常なら引退している年齢の人もいる(この傾向は傘下の各生同組合も同じ)。職員には状況を改善する努力はないのか。また、会議費が870万円と計上されているが、会合の場所がホテルニューオータニなど超一流ホテルばかり。大赤字でそれはないだろう。
見込めない上納金
激減する組合員達は、大半が年商1千万円以下の個人経営業者。これでは、組合費を値上げすることは不可能。今後、上納金はますます下がっていき、運営はますます苦しくなるだろう。
ギフト券などは改善できない
監事意見として、「一般会計決算が大幅な赤字となったことを重く受け止め、健全な収支バランスがとれるよう、平成29年度中にあらゆる角度から実施事業、全ク連機構、会費額等を見直し、改善策を構築して組織の健全化を図ること」、「平成29年度は、全ク連会計上重要な位置づけにあるクリーニングギフト券並びに全ク連生命共済の両事業について、その販売促進、加入促進に前組合を挙げて全力で取り組むこと」とある。
組織の健全化という上では、まず、超一流ホテルでの会合を一切中止し、東京都の安い施設などで行うべきである。大手業者ですらそうしているのに、売上的には最下層の組合員らがニューオータニはおかしい。また、職員の人件費を見直す必要がある。会費額のアップは望めない。
また、クリーニング・ギフト券は、40年にわたって行われている事業だが、一般には全く普及していない。成功せず、今後も好転が見込めない事業にしがみつくのは止め、きっぱりと停止すべきである。
生命共済は、組合員の大部分が零細な高齢者であることを考えれば何も望めない。監事意見として書かれた文章からは、この団体が改善に向かう方策が全く見あたらないといえる。
全ク連が昔から発行しているクリーニング・ギフト券。一般に知っている人は少ないだろう。
根本的改善を
イエスマンばかりで動かしてきた現状を反省し、組織を根本的に改善することを望む。全ク連は、一応は唯一の厚生労働省認可団体。それを生かし、市場の大部分を持つ非組合員や、消費者の利益に関わる事業に取り組めば、組合員が少なくともサバイバルの可能性を見いだすことはできると思う。やり方によっては作戦はいくらでもある。既得権益にしがみつかず、古いしがらみにこだわらず、勲章を欲しがらずに改革に取り組んでいただきたい。くれぐれも、「税金で補填」という、国民に負担をかける事態は避けてもらいたい。