ブラック企業よりも悪質!!クリーニング業界の悪質企業

ブラック企業よりも悪質!!クリーニング業界の悪質企業

 warumono

大きな社会問題であるブラック企業

 数年前より「ブラック企業」が日本社会の大きな問題となっています。最近、電通の女性社員が自殺する痛ましい事件があったことで、ブラック企業の闇はさらに広がっているといえるでしょう。

 「過労死(karoushi)という言葉は外国でも通用するそうです。仕事をさせられ過ぎて亡くなる人は、海外にはまずいないからです。ブラック企業問題は日本特有の問題として、真剣に取り組むべきでしょう。

 当クリーニング業界も、長年続く価格競争、行政の不備、モラルのない業者らにより、ブラック企業といえる業者も登場しています(一般マスコミには極悪ブラック企業などと書かれる業者もいます)。ブラック企業問題は、決して対岸の火事ではありません。

 

ブラック企業でも、残業を「可視化」している

 こういったブラック企業の報道を見て感じるのは、これだけ批判を浴びているブラック企業であっても、従業員個々の残業時間は明確にしているということです。残業80時間が過労死ラインということですが、それを下回るのはなかなか難しいというようなことが書かれている記事を見かけます。世間を騒がせる、悪名高いブラック企業でも、労働時間に関しては残業時間を正確に出しているということです。

 また、残業80時間以上では厳しすぎる、60時間までにすべきだという意見も出て、一般社会の残業に対する考え方は大変厳しさを増しています。

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クリーニングのブラック企業は、残業を「なかったこと」にする

 ところが、クリーニング業界ではこの残業を、できるだけわからなくするような「悪の工夫」をする業者が多くいます。一般のブラック企業でさえ残業時間がわかるようにしているのに、一部のクリーニング業者は残業時間がわからなくなるようにしているのです。

 そういったブラック・クリーニング企業の手口を列記します。

○社員にタイムレコーダーを使用させない

 これは古典的な手口です。タイムレコーダーをなくし、正確な残業時間の証拠を出せなくする方法です。クリーニングは忙しいときとヒマなときが極端な商売で、当然残業が発生しやすくなります。4,5,6月の繁忙期、土、日の週末などは残業になることが多いのですが、それを出さないなど言語道断です。

○残業を申告制にする

 「うちの会社は残業禁止です。残業になる場合には申告して下さい」として残業代を申告制にする会社もあります。「残業禁止」という割には、膨大な量の仕事を与えて時間内には到底こなせないような業務になっています。こういう会社はたいてい上司に威圧感たっぷりの女性マネージャーがいます。残業を申請しても、怒った顔をして出しにくい雰囲気を作ります。申請しても、「この売上じゃあねえ」などといって売上をタテに拒否します(時給と売上の関連はありません)。

○異常な業務数値を要求する

 人時生産率など、クリーニングの生産効率を示す単位がありますが、これを業界平均の2倍もの数値を目標とさせ、「みんなやっている」などとする方法もあります。作業員は必死になって働きますが、達成できないと、「努力が足りない」などと批判されます。この様な会社はサービス残業が起こりやすくなります。(ちなみに人時生産率は20くらいが業界平均です)

○ワンオペ

 一般に「ワンオペ」は一人で仕事をすることを意味しますが、クリーニングの場合、店舗で受付の仕事をするときにワンオペを強制する会社があります。店舗は営業時間が長いので前半と後半で交代制になる場合が多いですが、交代の際、二人で仕事をしていても、片方の分は給与を出さないのです。前半の店員が仕事が間に合わず、次の人が来てからも残務整理をすることがありますが、その分を出さないという方法です。悪質という他はありません。

○休み時間を長くした雇用契約書

 通常、6時間以上なら45分、8時間以上なら60分の休み時間を取ることが法律で義務づけられていますが、この休み時間を80分も取らせる会社があります。休みが長くていいと思いきや、安売りなので仕事が多く、全然休めません。実際には仕事をしているのに、契約書を「80分休み」として、その分を給与から引き、長く働かせる方法です。

○売上7万円以上でないと残業代を出さない

 店員に売上の水準を決め、一定額に達さないと残業代を出さないなどという会社もあるそうです。通報者によれば、「売上5万円以上でないと残業代を出さないといわれたので、他のクリーニング会社に移った。ところが転職先は売上7万円以上でないと出さない会社だった」などということで、この様な会社が複数あることがわかります。

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(売上7万円以上でないと残業代が出ないという社内通知。こんなものを文章化する業者もいるからすごい)

 

労働問題を業界全体で隠すクリーニング業界

 2016年、二つの大手クリーニング会社に労働組合が結成されたことは、クリーニング業界の中では知れ渡っています。しかし、そのことは業界紙に報道されることもありません。クリーニングの業界紙は都合のいいことしか記事にしません。真面目な業者を除き、多くの業者は息を潜めて、嵐の過ぎ去るのを待っているようです。多くの業者は、労働問題が表面化することを恐れているのかも知れません。さながら、2009年に発生した建築基準法問題のようです。

 クリーニング業界には何万という工場作業員、受付店員、配送員が働いています。これまで、こういう人たちに何の配慮もなかったのは異常なことです。

 クリーニングは厚生労働省管轄ですが、認可するクリーニング団体は全ク連とその参加の各県のクリーニング生活衛生同業組合だけで、この団体は昭和32年、生衛法に従って結成されているため、現在でも理事長など三役は人を雇っていない零細業者ばかりが務めています。何もわからない人が理事長では話になりません。当業界で労働問題がなおざりになってきた背景にはこのようなことがあります。

 しかし、このまま放置するわけにはいきません。当NPOは今後もこの問題に当たっていきます。