オーナー制は大丈夫?

増えているオーナー制

 最近、クリーニングの世界で「オーナー制」という言葉が聞かれるようになりました。各クリーニング会社は、自社で運営するクリーニング店舗を、店員を雇って運営していますが、「オーナー」にして独立させ、店舗の大半の業務を切り盛りしてもらうという試みです。オーナーは、店員さんがオーナーになる場合が多いようです。

 オーナーは基本的に歩合制で、働けば働くほど給与が上がります。若くして、かなりの給料をもらっている人もいます。実際、かなりがんばっている人もいます。働いている人のやる気を引き起こす制度として、脚光を浴びています。

 ただ、オーナー制が増えてきた背景として、クリーニング業界の人手不足があります。オーナーは労働基準法の縛りを受けないので、何時間働いても違反にはなりません。その点は注意が必要ではないでしょうか。

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 記事は、防犯訓練を受けるクリーニング店のオーナー

オーナー制の問題点

 オーナー制は、決して安直にやれるものではありません。コンビニ、ファストフードの世界では「名ばかり店長」として何度も裁判などが起こり、問題になっています。会社の従業員でいるときには誰もが労働基準法によって守られていますが、オーナーになると会社とは「取引先」ということになり、契約によって縛られます。そのため、自由が利かなくなることがあります。

 また、オーナー制には最低賃金があるわけでもなく、売上が低ければ収入も低くなります。当NPOで聞いたところによれば、一生懸命働いているのに収入が一ヶ月6万円くらいに落ち、生活できないと嘆いている人もいます。

 特に要注意なのは人手不足の深刻な会社です。人手不足が深刻というのは、仕事が厳しくて人が寄りつかない可能性もあります。人手不足対策としてオーナー制をするのであれば、その厳しい仕事から逃げられなくなります。365日働かされることになったら大変です。

 

オーナーになるための注意

 本来、オーナー制は業務を活性化し、各員のやる気を起こさせるために採用することが多いものです。現実に会社のキャンペーンなどで、上位入賞者がほとんどオーナーで占められるようなクリーニング会社もあります。クリーニング会社に勤務する人(主に店員)は、上司からオーナーになることを勧められたら、以下のことに注意しましょう。 

○低価格を売り物にする店では、品物をたくさん集めなければならず、大変です。低価格の場合には要注意です。

○このNPOのHPで注意しているような、シミ抜き追加料金とか加工製品がいっぱいあるとか、やたらと現場の業務が多い会社は負担が多く大変なので、避けた方が賢明です。特に、クレーム処理を店員にやらせるような会社は絶対にやめた方がいいでしょう。

○オーナーになる前に、契約書をよく読むべきです。説明の後、いきなり契約書を出して押印を迫るような場合は断りましょう。ただ、契約書は片方に一方的に有利な内容は無効になります。困ったときには、当NPOに御相談下さい。

○オーナー制は人手不足対策にはなり得ません。

○一般論ですが、いつも法律に触れているような、建築基準法、労働基準法に違反しているような反社会的なブラック企業は、オーナーを大切にするとは思えず、当然避けるべきでしょう。

 

 この問題に関しても、お困りの場合、あるいは御意見がある場合にもぜひ当方へご連絡下さい。