深刻な人手不足
今、クリーニング業界は深刻な人手不足といわれています。各業者はいろいろな方法を使って従業員を募集しますが、なかなか集まりません、また、やってきてもすぐに辞めてしまいます。
クリーニング会社も工夫して、週に一度、休みの日を設けたり(水曜か木曜が多い)、営業時間を短くしたりしますが、それでも足りません。他の産業でも人手不足ということですが、現在のクリーニング業者にとって最大の悩みといえるでしょう。
クリーニング業界では毎日多くの人々が働いています
安売り競争が原因
人手不足の原因の一つとして、クリーニング業界の低価格競争があるでしょう。他の会社より安くして、品を集めようとする会社がたくさんあります。特に、ワイシャツは対象になりやすく、100円を切る価格で勝負しているところも多くあります。
あるクリーニング業者が、「ワイシャツ59円」の看板を出していました、なぜそんなに安くするのかと聞いたら、「他の会社が69円でやっているから」だそうです。こんな不毛な競争をしている業者は、採算ラインを考えていないのでしょう。
ただ、従業員を抱えているクリーニング業者がひたすら安売り競争をやっていたのでは、従業員に払う賃金に影響を与えるのは当然です。従業員への待遇も悪く、人が来ないといっているのはおかしいでしょう。
仕事が厳しすぎ!
クリーニング業界で、低価格の業者と呼ばれているところには二通りあります。
まずは低価格なので品がたくさん集まるから、店員さんの負担をできるだけ減らそうという会社です。価格をシンプルにし、受付も簡単にして負担を減らすことにより、多くの数を集めようというわけです。こういう会社でも、繁忙期や土日は品が集中して大変だとのことです。
もう一つは、低価格をいろいろな追加料金で補おうという会社です。シミ抜きをいちいち有料にしたり、いろいろな加工を勧めさせられたり、加工獲得数をランキングにして比較されたりするのです。ただでさえ品数が多いのに、そこにさらに仕事を加えられたらたまりません。こういう会社は、あまりにも仕事が厳しすぎて、当然、働く人から敬遠されます。
労働法違反のブラック企業
クリーニングの人手不足で、もっとも決定的な問題は、労働基準法を守らず、残業代も払わない会社があることです。
正式なタイムレコーダーを置かず、「残業は申告制」として申請しても払わなかったり、「この売上じゃあ払えない」とか、売上の額で残業代を払わなかったりします(これはもちろん違法です)。
また、経費をパートに支払わせたり、給料を天引きして会社行事に使用したり、パートなのに夜中まで働かせたり……そもそも、これは日本なのかというような状況です。こういうブラック企業ではものすごい勢いで従業員が入社→退社を繰り返しています。こんな会社は、人手不足を嘆くというよりも、人を雇う資格がないのではないでしょうか。
職場環境の改善を
「ブラック企業」といえる会社があると、そこに勤めていた人は「クリーニングの職場はひどい」と思うようになります。真面目な会社までとばっちりを受けることになります。
会社では、人手不足を理由に労働時間を増やすところがありますが、人手不足は会社の責任であり、あなたに責任はありません。会社のピンチであれば協力してもいいですが、残業代や休日手当などはちゃんともらいましょう。
クリーニング労働チェックリスト(店員編)
いくつ該当するか数えてみましょう
○残業代が正確に払われていない(サービス残業)
○マネージャー(上司)が意地悪で、パワハラをする
○シミ抜き代は別料金で、もらわないと工場はシミ抜きしない。
○いつもいろいろな加工を客に勧めるよういわれる。
○新しい人が入ってもすぐに辞めていく
○売上や加工獲得数などをランキングにした表が配られ、最下位まで載っている
○点単価が280円以下
○休日でもマネージャーから電話がかかってきて、シフトの変更をいわれる
○繁忙期には、石油(溶剤)の臭いがプンプンした仕上がり品が返ってくる。
○繁忙期には、納期遅れが当たり前になり、客に謝らせられる。
当てはまる数はいくつでしょうか?
1~2 クリーニング業者にはありがち
3~6 当NPOに御相談下さい
7~8 労働組合を結成すべき
9~10 すぐ辞めた方がいいのでは?