繁忙期の注意
クリーニング需要は4,5月にピークを迎え、各工場は大変忙しくなります。クリーニング会社で働く人々にとって大変な時期であり、残業が続きますが、残業代は正しく支払われているでしょうか?
(クリーニングは年間で需要が極端に変化します。繁忙期の仕事は閑散期の2倍以上になり、特に低価格のクリーニング店はこの差が激しくなるといわれています)
一番多い労働相談
当NPOが発足して以来、一番多い相談がクリーニング会社で働く従業員からのもので、一番多い内容がサービス残業に関してです。本来、「NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート」という名前が示すとおり、消費者がクリーニングを正しく利用していただくことを一番の目標に設立された団体なのですが、現実には労働問題の相談が圧倒的なのです。
これは、今までクリーニング業界で働く人たちの相談する場がなかったことを意味します。当NPOは、クリーニング労働者の「受け皿」になったのです。
ともあれ、労働基準法が守られていなかったり、残業代が正しく支払われていないなどというのは大問題です。今後も当NPOはこの問題に取り組みたいと思います。
繁忙期の残業
4月、5月は冬物衣料がたくさん集まり、残業が発生します。残業代はしっかりもらわないといけません。時間外労働は時給の1.25倍の賃金になります。
寄せられた連絡には、こんなことが書かれています。
売上が何万円以上ないと残業は出ない
1時間に25点以上預からないと、残業代は出ない
時間当たり売上が5000円以上でないと残業代は出ない
完全ワンオペなどといわれ、二人でいるときに一人分の給料しか出ない
タイムレコーダーがなく、残業代がわからなくなっている。
タイムレコーダーの打刻を労働時間と別に、強制的にさせられている。
もちろんこれらは違法です。賃金は働いた分だけもらわなければなりません。
(未払い残業代の支払いが行われたことを報じた月刊誌の記事)
クリーニング業界のサービス残業対策
タイムレコーダーを正しく押させなかったり、会社側が証拠を隠滅される様な場合、後で残業代を請求しても「証拠がない」と拒否される場合があります。ブラック企業は狡猾です。賃金を正しくもらうためには、以下のことを実行して下さい。
労働時間のメモ
これはよくある話ですが、会社が正しい労働時間を記録させない場合、自分で毎日の出勤、退勤時間をメモしておくことが有効です。この方法で残業代を勝ち取った人も多くいます。簡単なメモでもいいので、やっておくべきでしょう。預かり点数などは後でも把握できますので、仕事が多かったことも証明できます。
給与明細の保持
自分の給与明細は、きちんと保存しておきましょう。未払い賃金は過去2年前まで支払われますので、有力な証拠になります。給与明細を捨ててしまう人がいますが、ブラック企業は従業員の管理の悪さにつけ込んできます。給与明細の他、会社の業務連絡などの書類も保存しておきましょう。
タイムレコーダーのコピーまたは撮影
クリーニング工場では、タイムレコーダーがたいてい使用されています。ところが、上司がタイムレコーダーを見せず、全部打刻されるとすぐにどこかに持ち去ってしまうということがあるそうです。タイムレコーダーは定期的にコピーするか、スマホなどで撮影しておくのも、後々有利な材料になります。
できれば複数で行動すること
未払い残業代の請求は、二人以上で行うと効果的です。複数の人が同じことをいっているのなら、証拠として強いからです。
このほかには、以下のことに注意して下さい。
極端な深夜労働
昨年は従業員を深夜3時まで働かせていたという会社がありました。いくら繁忙期とはいえ、そんな夜中まで働かせることは異常です。過労死の危険性もあります。あまりに極端な長時間労働は、健康のためにもするべきではありません。特に、パートや家庭の主婦がに深夜労働をするは異常です。普通の職場ではこの様なことはあり得ません。
賠償を個人の責任にされる
繁忙期は普段の二倍、三倍という量が一気に集まるため、紛失事故が起きやすくなります。ところが、こういう賠償を個人責任にして、従業員に支払わせるところがあります。全くひどい話で、この様なことに応じてはいけません。
これはあまりにもひどい話なので、こんなことはあまりありませんが、賠償させられる側になったらただごとではありません。こういうことこそ、当NPOに御相談下さい。
過労死になる前に・・・
クリーニング業界は現在、人手不足といわれています。サービス業全般が人手不足ですが、クリーニングの場合、保険が不備だったりする事例が多く、自業自得ともいえます。
人が集まらないため、残った人がたくさんの仕事を抱えて苦しんでいる話をよく聞きます。パートが夜中まで働いているなどという話は、当業界以外聞いたことがありません。
あまりにも仕事を押しつけられた人が、耐えられなくなって死んでしまうこともあります。過労死になってしまっては大変です。あまりにも過重な仕事を押しつけられているなら、早めに当方に御相談下さい。
労働基準監督署への相談は……
働く人たちの相談窓口になるのは通常、労働基準監督署です。しかし、寄せられるお話を聞いている限り、あまりうまくいかなかったという声も少なからずあります。ブラック企業と呼ばれるような会社は、労基への対応も慣れているので、ごまかされてしまうのかも知れません。
話の持っていき方やクリーニング業界の特色などもありますので、その様な場合には当NPOに御相談下さい。
(秘密は厳守いたします。匿名でも結構です)
※せっかく御相談されても、送られたメールに返信しても送れない場合がありました。送信に関しては返事ができる環境を整えていただきます様、お願いいたします。