ひどい!パートに弁償させる会社・・・

クレームが付き物のクリーニング

kujuuno

2004年に出版されたクリーニングのクレームを紹介した拙著「苦渋の洗濯」

 

 クリーニングにはクレームが付き物です。それは、私たちクリーニング業者の問題以外にも、衣料品を製造するアパレルメーカーの問題も、顧客自身の問題も、まずは私たちが受けなければならないからです。そうなると、いかにクレームに対処するかが重要になります。

 しかし、クレームは大変なことです。理不尽な要求をしたり、ただ、文句を言うだけのような人物もいます。そんなクレーマーを、店員さん達が相手にしていたらウンザリしてしまうでしょう。

 

低価格業者ほどクレームが多い傾向がある

 こういったクレームには一つの特徴があり、低価格で受けているクリーニング業者ほどクレームが多くなるといわれています。低価格だと預かっている品数が多く、その分クレームの確率も高くなるし、多く預かる分だけ1点当たりにかける検品の時間が少なくなるという問題もあります。セールを行ったときに、クレームが多くなることを経験した人も多いのではないでしょうか?本来、会社から雇われているだけのパートタイマーが、自分の責任でもないクレームに関し、顧客に「すいません、すいません」と謝罪するのはあまりにもつらいものです。ある意味、この仕事の一番の問題点ではないでしょうか?

 

クレームを現場任せにする会社

 ところが、こういったクレームを末端の店員にさせる会社があるそうです。クレーム処理は、普通は会社幹部が行う仕事ですが、それを店員がするのです。これはあまりに無責任で、雇われている人たちには、たまらないことです。

 クレームが現場任せになる理由としては、まずはその会社の苦情が多すぎて、管理者にはとても処理しきれないということがあるでしょう。また、苦情をあまり重要だと感じていない会社の体質ということもあるかも知れません。いずれにしても、感心できることではありません。

 クレームは必ずしもクリーニング業者側に問題があるわけではなく、顧客の過失(衣料品に漂白剤をこぼしたとか)、衣料品の欠陥(アパレルに責任)があります。しかし、それらを顧客に説明しなければならないという点に変わりはありません。これを現場に・・・というのでは店員はつらいでしょう。

 店員に責任がない場合は勿論、仮にミスが店員の責任であっても、よほどのことがない限り(故意に不正をしたとか)、店員が賠償させられるということはあり得ません。もし、あなたがそういう会社に勤務しているのなら、それは異常な会社ということになります。

 

引越業者の自己賠償より悪質

 最近、引越業者の自己賠償が話題になりました。ある引越業者が、従業員が仕事のときに顧客の家財道具を損傷したとき、それを従業員に責任にして賠償させるというものです。この業者の場合、給与を一般の会社よりもかなり高めに設定し、その代わりミスは自己責任、という待遇でした。ハイリスク、ハイリターンというわけですが、クリーニングでは時給が月並みで、社会保険にすら入っていないパートタイマーが賠償させられるのですから、さらにひどい。ハイリスク、ローリターンです。そして、引越業者は自分の責任のものだけが賠償の対象ですが、クリーニングでは責任の所在がハッキリしないものまで賠償させられるとのことです。引越業者の事情よりもはるかに悪質です。

 

極端な管理が原因

 こういった会社の実情を聞くと、工場、店舗などの各部署が厳しく点数によって管理され、成績を競わされていることがあるようです。管理を厳しくし過ぎると、各部署が成績を競い合い、責任を回避するようになります。責任のなすりつけ合いになると、クリーニング業の場合には末端の店員が不利になります。

 クリーニング業の場合、クレームの多くが品物の紛失です。これは、誰が紛失したのか、そこでなくなったのか、責任がハッキリしません。工場が責任を店舗になすりつけるような会社は困ります。

 

ストレスの原因に

 自分が働いている職場で、自分に責任があるかどうかもわからないことで賠償させられる・・・こんなバカなことがあってはたまりません。一般のクリーニング業者においては、絶対にあり得ないことです。

 あまり芳しくない労働環境の職場で働く人たちにとっては、サービス残業も辛いが、苦情処理をさせられ、客に怒鳴られることが何よりもイヤだということです。これは各従業員にとっては大きなストレスになり、健康被害を誘発する恐れがあります。

 

困ったら連絡を

 2014年、クリーニング会社元店員は、勤務していたクリーニング会社を相手に未払い残業代の払い戻し訴訟などを起こしましたが、その際、未払い残業代の一部とともに、賠償させられたワイシャツ料金13000円の払い戻しもされました。本来、あってはならないことですが、こんなことがあったら大変です。

 クリーニング店で働いている方々は、もしこういう問題で困っている場合には、当方にご連絡下さい。