2月19日、当NPOは、国会でブラック企業問題を取り上げ、悪質なブラック企業の有り様を力強く延べ、今や「ブラック企業対策の第一人者」ともいえる日本共産党の吉良よし子参議院議員に会ってきました。
クリーニング業界では最近、ブラック企業的な手法を取り入れ、「極悪ブラック企業」とマスコミにも叩かれた企業が登場してきました。その様な現状を踏まえ、「ブラック企業対策といえばこの人」ともいわれる吉良さんにお会いし、ブラック企業対策に向けた今後のご協力をお願いしてきました。
吉良さんは大変お若く、共産党のマドンナとも言われていますが、お会いしてみると、本当に国会議員なの?と思われるくらい若く、こちらがビックリしてしまいました。
吉良さん自身、自らクリーニング店に行くこともあるそうで、「確かに最近、クリーニング店に行くと、いろいろと追加料金を取られる」と言っていました。クリーニング店の変化を感じておられたようですが、当方は「安く見せ、後でいろいろ追加料金を取る」最近の格安クリーニング店の手法(消費者問題)をまず説明しました。
クリーニングのブラック企業について説明
次に、最近雑誌が取り上げたクリーニングのブラック企業に関する記事を中心に、クリーニング業界で行われている不正な手法などについて説明しました。途方もない量の仕事をさせて、「当社は残業禁止です」という強引な残業代未払いや、「時間当たり売上」を計算して、5000円以上ないと残業代はつかない(ブラック企業では定番です)、などとする方法、給料から労働者の周知なく「互助会費」を天引きして会社行事に充てる、また、本人に責任がないのに紛失品などを弁償させられることなどがありました。上司による業務終了前のタイムレコーダー打刻指示、完全ワンオペで、二人で仕事をしていても、片方の時給は発生しないなどということも説明しました。
2014年には退社後に立ち上がった元パートタイマーが労働組合を通じて未払い残業代を請求し、未払い残業代を含め、互助会費全額、自腹で払った経費など約60万円が返ってきました。吉良さんの他には秘書の方々もいましたが、以前、クリーニング店でバイトをしていたという秘書の方もいて、三人でなるほどと聞かれていました。やはり、女性の方はクリーニングがより身近なので、興味深かったと思います。
ブラック企業はどのように発生するか?
当方はブラック企業が発生する要因や、どのようにブラック化していくかなどについて、先に問題となった「焼肉えびす」などの事例を挙げ、あまり産業のない地方都市では、ちょっと勢いのあるような業者がすぐに注目され、そこに地方マスコミや、融資先に恵まれない第二、第三地銀などが寄ってきてもり立てる傾向を述べました。
クリーニング業界でも、第二、第三地銀の行員が転職してクリーニング会社に入社するということは、特に地方では結構事例があります。銀行員は数字には強いが業務の現場を知るわけではないので、数字だけで管理され、各作業が細かく目標値を設定され、人時生産率40(通常は20程度)などという異常な業務が課される上、人件費を縮小しようとして残業代などが削られる構図ができあがっていく可能性があります。
また、地方マスコミなども広告料がもらえるので、そういった企業を応援する様になります。行政も、地方では都会ほど機能せず、そういった企業が見逃され放置される場合があるのです。「ブラック企業は地方初が多い」という自説を述べてきました。
クリーニング業界のちょうちん記事にビックリ
いろいろな資料を持参しましたが、吉良さんにもそれらをよく見ていただきました。ある業者の「不慣れな担当者が入り、ズボンの二重線が発生しています」などという社内業務連絡には思わず笑っておられました。また、一般紙にはブラック企業と叩かれている業者が、業界内のクリーニング業界紙では、まるで素晴らしい画期的な会社のように書かれているのを見て(いわゆるちょうちん記事)、大変驚いていました。
今後の協力をお願い
吉良さんとは1時間のお約束でしたが、時間を延長して約1時間20分に渡りお話しを聞いていただきました。最後に、今後の協力を依頼してお別れしました。
ブラック企業の蔓延はクリーニング業界だけでなく社会全体の問題であり、ブラック企業が蔓延すれば、社会が破壊されてしまいます。吉良さんのますますのご活躍に期待いたしますが、多くの人々が強い意識を持って、ブラック企業の横行を防がなければならないと思います。