クリーニング店で見かける「半額」の文字(街中でランダムに撮ったものであり、特定の業者を指すものではありません)
増える半額セール
最近、店頭に「半額」と大きくアピールするクリーニング店が増えてきました。実際、半額で受ける品がかなり多いとのことです。多くのクリーニング業者が「半額」を行っているようです。会員入会時と更新時にはよく聞く話ですが、半額クーポン、半額の日、曜日セール、DM,半額チラシ・・・と絶え間なく半額が続き、半額でない日がないくらいの有り様です。何でこんなにクリーニングでは半額が多くなったのでしょうか?
なぜ半額にするのか
なぜいつも半額になったのかというと、クリーニング店にとって、手っ取り早く売上を上げるのは「半額」セールだからです。消費者に最も強烈なアピールをすることに関し、半額以上に効果的な方法はないようです。このため、半額セールが多くなってきたようです。
しかし、半額セールは諸刃の刃です。半額セールを連発すると、そこから抜け出せなくなってしまいます。顧客はどうせまた半額になると思っているので、半額セール以外のセールでは全く品が集まらなくなります。半額セールを連発していた会社が40%セールを行ったら、全く集まらなかったといいます。慢性化した半額セールは麻薬のようなもので、カンフル剤を打ち続けると、いずれ効果がなくなるようなものです。
実は法律違反
こういった半額セールに関しては、違法であるという指摘もあります。
店頭に「半額」と表示し、実際に様々なセールを行い、定価よりも半額で受け付けることが多いような場合には、景品表示法に抵触する恐れがあります。
不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)は、事業者の販売価格について、一般消費者に実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示を不当表示として禁止しています。この「著しく有利であると誤認される」かは、当該表示によって販売価格が実際と異なり、一般に許容される誇張の程度を超えて、顧客の選択に影響を与える内容か否かにより判断されるといいます。不当表示のうち、二重価格表示は一般的には自己の販売価格よりも高い他の価格を併記して表示するものをいいます。
公正取引委員会は「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」において、一般消費者が誰でも容易に会員になることができ、会員価格の倍額の非会員価格で販売されることはほとんどない場合を二重価格表示として不当表示に該当する恐れがあるとしています。そうなると、顧客の大半を会員にして、一年中会員に半額セールを行うクリーニング店の手法は、まさにそれに当てはまるともいえるでしょう。
二重価格の罪
慢性的な半額セールは二重価格の恐れがあるということですが、これは、顧客にもクリーニング店員にも迷惑な話です。
顧客にとっては、年中半額なら、半額の方が「定価」であり、半額と言いながら、結局はもともと半分の価値しかないサービスだったことになります。また、クリーニング店員にとっても、半額セールで品がたくさん集まり、ただ忙しくなるばかりです。年中半額だと、たまに定価だったりすると怒り出すお客様もいるそうです。
そして、年中半額セールをやっているようなクリーニング店は、単価の低さを別な方法で補うため、シミを見つけたら追加料金を取ったり、一年中加工製品を勧めたりすることになりがちです。「安く見せて、後でいろいろ追加料金を取る」ということです。
こんな店にはご注意を
お客様にとっては、クリーニング料金が安くなるのは結構なことですが、そこに法律違反があったり、もともと半額の価値しかないものを「半額」と言われても迷惑なだけです。そこで、こんな店には注意した方がいいかも知れません(あくまで私見です)。
○店頭に大きく半額と書かれていて、確かに一年中半額である。
○半額の方が半額でないときより多い。
○店頭でシミを見つけるといきなり追加料金となり、一年中○○加工を勧められる。