日本のクリーニング業界は、大手業者同士の激しい価格競争により、様々な弊害を生むようになりました。業界あげての建築基準法違反や数多くの追加料金などはその典型ですが、怪しい手法が裏ノウハウとなって業界に広く伝わったように、人件費を削減するいろいろな方法も同様に「裏ノウハウ」となって伝わっているように思われます。
特にクリーニング業界の場合には、働いた分の時給が支払われていない「サービス残業」が目立ちます。これには、業界に「裏ノウハウ」が伝わり、残業代を支払わないようにしている様に思えます。
残業代未払いは労働法違反です。実際に調査した事例を報告します。
○4,5、6月の繁忙期やセール期間中など、開店前や閉店後に働いて仕事を間に合わせているのに、時給に計算されない。残業代が払われない。
○「午前10時から午後8時まで」などの店舗営業時間がそのまま労働時間として計算され、閉店後の仕事が計算されない。
○会社から「残業は禁止」と通達され、就業時間にタイムレコーダーを打刻しているが、実際はいつも残業している。
○マネージャーなど上司から「仕事が遅い」、「ノルマに達していない」などといわれ、残業しても報告していない。
○いつも店舗はいわゆるワンオペ、一人体制で、早番と遅番の交代制だが、自分の仕事が間に合わず、次の人が来てからも仕事している(その分は支払われない)。
○とにかく、働いた分の時給が支払われていない。
一般に「ブラック企業」と呼ばれる会社の場合、サービス残業の対象になるのは正社員で、社会保険に入っている正社員なのだからある程度のことはしろ、ということでサービス産業をさせられることがあると聞きます。クリーニングの場合、正社員どころか社会保険未加入のパートさんがサービス残業をさせられるという話があり、これではさらに悪質です。
タイムレコーダーを打刻した後に仕事をすることなど普通はあり得ません。「仕事が遅い」、「ノルマに達していない」からサービス残業することなどもあり得ません。
タイムレコーダーは誰がなんといおうと正確に打刻しましょう。
人のタイムレコーダーを別人が打刻するのは犯罪です。