ワイシャツ白だけ90円!

 クリーニング店が顧客から一番多く預かる品はワイシャツです。都会では預かり品の約半数にも上ります。クリーニング店では、このワイシャツの価格を下げ、集客する手法が昔から定着しています。

 「ワイシャツ90円!」など、安い看板を見かけた顧客が、自分の品をその店に持ち込むと、「ワイシャツ90円は真っ白なものだけで、後は追加料金がかかります」などと言われることがあります。

 外からはわからないようになっていますが、受付カウンターにワイシャツの追加料金が書かれています。それは実に詳細なもので、色が付いていれば何十円増し、ボタンダウンならば何十円増し、カフスやエリが二重なら料金が倍とか・・・。真っ白で普通のワイシャツ以外は、すべてが追加料金となってしまうのである。

 現実には、真っ白なワイシャツは全体の3割程度です。すなわち、持ち込んだシャツの大部分が追加料金の対象となってしまうのです。

 この手法については、客にすべてのワイシャツのクリーニング代が90円であると認識させるような表示は「不当表示」(不当景品類及び不当表示防止法4条1項2号)に該当すると考えられ、都道府県知事が業者に看板の是正、撤去等を指示することができる(同法7条)といいます。すなわち、この手法は法律違反、不正です。真っ赤とか真っ白とか、極端に濃い色のワイシャツは別ですが、多少のストライプや淡い色のシャツは、全部一緒に洗い、やり方は同じです。

 2009年、この様な業者が福島県に進出した際、当NPOのメンバーが福島県の組合に相談し、組合がこの行為を消費生活センターに通報し、この業者は行政指導され、この行為はなくなりましたが、不思議なことに、他の会社でもこの行為をしていた業者達が一斉に取りやめました。こういった「闇ノウハウ」がひそかにクリーニング業者達の間で共有されていた可能性もあります。

 これも、顧客に価格を安く提示し、あとでいろいろ追加料金を取っていく手法の一つです。

ハッタリ価格

 この問題を報じる機関誌の記事。福島県で該当業者に指導が入ったことを示し、法律相談も引用して「不当表示」と違法であることを記している。