旧統一教会問題と同じ 票田としてのクリーニング

政治の力でクリーニングも違法操業 

旧統一教会問題と同じ 票田としてのクリーニング

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 当NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートは、日本のクリーニング業界の様々な問題(消費者問題、労働問題等)を解決すべく設立された団体である。本来ならこのようなことは厚生労働省の認可団体である全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(全ク連)がするべきだが、彼らは零細業者ばかりであり、大手がほとんど入っていないため業界のほんの数%しかシェアがなく、業界問題に対処できない。それどころか、自分たちも平気で建築基準法違反など不正、違法行為を重ねている

 不正行為、違法行為は行政によって指導、改善されるべきだが、建築基準法違反などは全く行政が動かず、なんと全体の半分近く、4割強が違法操業を継続している状態にある。そればかりでなく、労働基準法違反、景品表示法違反、消費者契約法違反など多くの問題が放置されているせいで業界が無秩序になり、ブラック企業が乱立する無法状態となっている。これは、他の生活衛生に関わるサービス業全体の問題である。法治国家である日本が、なぜ、不正を放置するのだろうか?

 しかし、あの安倍元首相襲撃事件により、その謎が解明された。カルト教団もクリーニング業界も同じようなものだったのだ。以下の文章でそれについて説明してみたい。

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呆れた政治の姿勢

 2022年7月8日、遊説中の安倍元首相が突如銃撃された。大変なニュースに驚かされたが、もっと衝撃だったのはこの後に出てきた政治とカルト教団とのズブズブの関係である。容疑者はカルト教団に家庭を狂わされ、その広告塔となっていた安倍元首相を狙ったのだった。容疑者も、教団がここまで政治に関わってきたとは考えていなかったのではないか。誰もが名を知る有名な議員達が教団とつながっていた。次々と明かされる関連ニュースに驚き呆れている。

 教団は昔から「霊感商法」によって多くの犠牲者を出していた。そんな教団が長く活動を継続していたのは、政治家らのバックアップがあったからだ。教団も選挙のときには積極的に応援し、持ちつ持たれつの関係が長年続いていたことになる。

 政治家は票のためならなんでもやるというが、多くの人を苦しめているカルト教団まで助けていたとは驚いた。政治家は票がもらえるなら、世の中がどんなに悪くなってもいいと考えているようだ。安倍元首相襲撃事件は結果的に政治家とカルト教団との全く悪質な関係を暴いた。そして、その後も政治家達はカルト教団との関係を明確に断つと答えているようには到底感じられない。おそらく、多くの国民がひどい政治不信に陥っているに違いない。

 しかしながら、政治家の票田はカルト教団だけではない。これとほぼ同様な醜態がクリーニングなどサービス業の世界でも当たり前のように起こっている。

 

放置される違法操業

 2009年、業界大手のクリーニング会社が建築基準法違反で揮発された。彼らは行政に虚偽申請をして引火性溶剤を使用できない商業地、住宅地で工場を違法操業していた。非常にあくどい話だが、このニュースにクリーニング業界全体が恐れおののいた。実は、クリーニング業界ではかなり多くの業者が建築基準法違反状態であり、半分以上の業者が当たり前のように違法操業状態だったのである。

 人がたくさん集まる場所に工場と店舗を一緒にしたユニットショップを営業すると利益性が高い・・・しかし、ここで石油系溶剤を使用すれば建築基準法違反となる。他の溶剤は高い。誰かがこっそり違法操業を始め、まわりもそれに習ってみんな不正を働いた・・・クリーニングで違法行為がまん延するのはだいたいこんな感じである。「業界を挙げて」違法行為に手を染めていたのである。

 2010年、国土交通省は全クリーニング所の調査を開始、大甘の調査ながら全体の50.2%が違法操業だと発表した。それでも半分以上の業者が違反だったことになる。しかし、それ以降10年以上過ぎても、彼らはずっと建築基準法違反の違法操業を継続し、行政はほとんど是正指導を行っていない。これはなぜだろうか?

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未だに違法操業を続けているクリーニング業者を批判した新聞記事。文中には火事を起こしても問題ないと開き直る違法行為業者や、違法操業ができないなら商売やめる、といった無責任な業者の言葉も登場する。

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東京都クリーニング生活衛生同業組合のアンケートを記事にする業界紙。東京ではかなり多くのクリーニング業者が違法操業していることがわかる。「自分たちは違法操業している」と開き直る生活衛生同業組合もすごい。

全国クリーニング業政治連盟

 クリーニングや飲食業、理美容業など生活衛生に関わる職業は昭和25年頃、戦後まもなくの時期にクリーニング業法などそれぞれのビジネスに関する法律が作られ、昭和32年に生衛法生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律)という法律が作られ、各業界がまとまっていった。それまではまとまっていなかったため各業種に価格競争が起こり、潰れる業者が多かった。そこで行政が各業界に干渉し、過度な価格競争が起きないように同業組合の結成を呼びかけたのである。生衛法はそういう趣旨で施行された法律だった。これにより、少なくとも施行数年間は各業界がまとまっていた。

 しかし、商売にはイノベーションが起こる。それまで職人の仕事だったクリーニングも生産性の優れた洗濯機や仕上げ機が登場する。ワイシャツはどんなに優秀な職人でもアイロンで1時間に10枚仕上げるのがやっとだったが、仕上げ機の開発により素人のパートが二人で1時間に100枚以上仕上げることができるようになった。そうなれば大幅に生産性が増し、価格も安くできる。クリーニング業界には昭和40年頃から家内工業ではない「企業」が登場し、顧客を既存業者から奪っていった。そうなると、日本中どこも大手業者の寡占状態となり、生活衛生同業組合は市場の隅に追いやられた。厚生労働省認定の人たちは全くの「その他」になったのである。これは、飲食業や理美容業、ホテル・旅館業など他の生活衛生業種も全く同じである。あらゆる業種で、国が認可する生活衛生同業組合は少数派となり、零細業者の集団となり、「かわいそうな人たち」の象徴となった(生衛法の趣旨がそういう人たちを救済することにあるため)。

 しかし、全ク連は「全国クリーニング政治連盟」という政治団体も運営しており、毎回選挙が迫ると、全国クリーニング政治連盟から政治家への推薦状が配られる。また、政治家は全ク連の総会など会合に出席し、選挙の折は集会などに全ク連役員らが動員される。自民党と旧統一教会の関係議員と全く同じなのだ。

 クリーニングの建築基準法問題は、最初の二社が摘発されたときまでは行政はきちんと動いていた。しかし、国土交通省が全事業所を調査するとなると、途端にトーンダウンした。これは政治の力が働いたとしか考えられない。現に「クリーニング屋さんがかわいそうだ」などと国会で発言した議員もいた。

 反社会的な違法行為をしているのに、票の力で見逃してもらっているという点で、違法操業のクリーニング業者達はカルト教団と全く変わらない

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 毎回の選挙では生活衛生同業組合に上記のような推薦状が配られ、実際幹部は政治家と接触して応援する。その見返りとして不正が見逃されていると考えられる。

全ク連だけ助ける行政

 2019年、東北のある県で「ある業者が行政に届け出をしていない店舗をたくさん営業している」と当NPOに連絡があった。建造物はある程度の大きさがあれば必ず行政に届け出をしなければならない。届け出もない店舗をたくさん出しているなどという事が本当なら驚きだ。早速調査してみると、土台のない、怪しい店舗が複数見つかった。十分調査した上でその県の県庁建築住宅課に連絡すると、あっという間に行政は動き、ただちに行政指導が行われた。この業者は工場でも建築基準法違反を繰り返していたのだが、店舗も違反とは呆れたが、この県の行政の素早い対応には驚かされた。非常に行政の優れた県なのだと思った。

 そこで、この県の他の建築基準法違反と思われる業者のリスト(住宅地や商業地にあるクリーニング所。クリーニング生活衛生同業組合のHP名簿から作成した。)を作り、ふたたび県庁を訪れて指導を依頼した。その結果、どうなったか。あれだけ大手の指導に熱心だった行政は、一年過ぎてもほとんど何もせず、相変わらず違法操業は行われている。一方は厳しい指導を行い、一方は容認する・・・これが行政の現実である。あまりにも不公平ではないか。

 全ク連は、団体で会員に配った文章の中には、はっきりと政治、行政の力で建築基準法違反を容認してもらっていると書かれている政治の力で違法操業が許されていると明言しているのだ。どんなに悪いやつでも、法律違反であっても、票になるならなんでも許されるのだ。日本はこんな国だったのかと呆れてくる。

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全ク連が会員に配った文章の一部。当団体は政治や行政とつながっているのだから、建築基準法違反の違法操業が許されていると堂々と書かれている。彼らに不正をしているという意識はないようだ。

 

 全国クリーニング業政治連盟の弊害・・・ブラック企業の誕生

 全国クリーニング業政治連盟が政治家と蜜月であり、違法操業が放任されているのだが、それより深刻な問題が起こっている。それについて説明したい。

 政治家が生同組合の零細業者としか接点がなくなると、市場の大半を占める大手業者は全く政治家の視野に入らなくなり、不正行為や違法行為がやたらと多くなる。各業者は全く自由に価格競争を繰り広げ、安い価格が従業員の給与にも影響し、業界全体がブラック化し、ブラック企業が登場する。ブラック企業の発生は政治連盟が間接的に関与しているのだ。クリーニングに限らず、飲食業、理美容業などブラック企業が生衛業種に多いのも、各生衛業界の政治連盟が深く関わっているからだ。日本固有の問題であるブラック企業は、生衛業の政治連盟による副産物ともいえるのだ。

 旧統一教会の問題を見る限り、政治家は票になるならどんなことでもするし、社会を悪化させることもいとわない。そうなると、ブラック企業は政治家が育てていることになる。

 現在は日本の労働者全体の3分の2がサービス業従事者であるという。労働者の多数派なのに、政治の「票」のため、ブラック企業の脅威にさらされているのが現在の日本である。そう考えれば、この問題はカルト教団問題にも匹敵する被害があることがわかるだろう。

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パートを夜の12時まで働かせて残業代も払わなかったブラック企業が糾弾された記事。こんな業者が登場する大きな原因が全国クリーニング業政治連盟の存在である。

 カルト教団に限らない政治家の「悪の票田

 

 日本クリーニング政治連盟に限らず、おそらくはこんな票田がたくさんあるに違いない。そうなると、今回の事件で仮にカルト教団に解散命令が出て票田でなくなったとしても、「票のためになんでもする」政治家は生き残り、大きな問題が起きない限り、この現状が続くに違いない。現在のような体制が続く限り、日本は永遠に良くならない。 

だまされているのは政治家

 しかし、業界シェアのほんの数%しかない全ク連(全国クリーニング業政治連盟)に、それほどの集票力があるとは思えない。2022年度、2019年度に行われた参議院選挙でも全ク連の推した議員は落選している。こんな少数派にたいした集票力はない

 それでも、全ク連は会合に政治家を招いたり、選挙時には選挙事務所を訪れたりして、応援をする「ふり」を続けている。たいした票になりもしないのに、だまされているのは政治家ではないかと思える。

 それでも、政治筋に詳しい人によると、「少しでも票になると思うとそれに頼るのが政治家」とのことで、相変わらず全国クリーニング業政治連盟と政治家の癒着は続き、この関係を変えることができない。政治家がカルト教団と関係を断ち切れないのと同じである。

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 2022年の参議院選挙で生活衛生同業組合メンバーに配られた推薦議員に投票するよう勧めるハガキ。いかにも大きな組織が応援しているように政治家に見せている点は悪質であり、政治家をだましているようにも思える。

まとめ

 全国クリーニング業政治連盟がやっていること

 

建築基準法違反のクリーニング業者を違法操業させている

 上記のように日本のクリーニング所の4割強が建築基準法違反の違法操業を行っている。10年以上も指導されないのは全国クリーニング業政治連盟による票の力しか考えられない。 

業界に価格競争を起こし、業界の品質低下、業界の不健全化を招いている

 政治、行政は業界全体のごく数%に過ぎない全ク連(全国クリーニング業政治連盟)しか見ていないため、大手業者は好き勝手に競争状態になり、結果として価格競争が起き、不正が横行している。 

業界にブラック企業を登場させている

 行政の管理下にない大手業者の中には「不正をしてもバレない」ことを悟り、ブラック企業がどんどん増えている。これはクリーニングの世界に限ったことではなく、生活衛生関連の仕事(飲食業、理美容業などのサービス業)にブラック企業が多いのはこのためである。

 

クリーニング業政治連盟もカルトと同じ!解散請求をしよう!