提言:半透明の包装材を使用しましょう
石油使用量を半分以上カットできます
深刻なプラスチックゴミ被害
今、世界的にプラスチックゴミの問題が深刻化しています。私たちは石油からプラスチックを作りだし、あらゆる方面に使用してきました。クリーニングでも、仕上がり品を包装するビニールの包装材や、ハンガーもプラスチックのものがほとんどです。
今年6月に公布された「プラスチック資源循環促進法」について、政府は8月23日(月)に同法に基づく新制度の具体案として、削減すべき特定プラスチック製品12品目と企業に求める対策を公表しました。その中にはクリーニング店で使用するハンガーと包装のポリ資材も含まれています。
このうち、ハンガーはどこでもリサイクルが進んでおり、回収して何度も使用することにより、ゴミをかなり減らすことができますが、品を包装する透明のビニールについてはなかなか解決方法が見つかりません。
現実的でない業界団体の対応
この状況を踏まえ、厚生労働省認可の全国クリーニング生活衛生同業組合連合会(全ク連)ではプラスチック資源循環促進法への対応を検討し、包装材をできるだけ薄いものにすることや、一客包装、集合包装(仕上がり品を一度に複数枚同時に包装すること)を呼びかけています。
しかしながら、これは現実的な解決にはなりません。現在のクリーニング工場は、ほとんどが自動包装機を使用しています。これはコンベアで流れてくるハンガーに掛けられた仕上がり品を1着ずつ自動的に包装する機械です。これにより、1時間に500枚もの仕上がり品を包装することができるので、大いに経費節減に役立っています。
包装材を薄くすると、自動包装機では包装材が破れてしまうトラブルが多発します。特に冬は破れやすくなり、破れた包装材を廃棄してさらにプラゴミが増える結果となります。また、自動包装機は複数枚の仕上がり品を同時に包装することは基本的にできません。
もし自動包装機の使用をやめて手動にすると、手間が大幅に増して人件費がかかり、大手業者は敬遠するでしょう。クリーニング市場は日本中どこでも大手業者の寡占状態にあり、9割以上大手業者がシェアを占めていますので、零細業者だけではほんの数パーセントしか効果がありません。全ク連の解決策は完全に家内工業の零細業者向けであり、市場の9割以上を占める大手業者はとても採用できません。
クリーニング工場で使用されている自動包装機。顧客が着用する仕上がり品の大半がこのような自動包装機によって包装されている。
画期的な解決策があった!
しかし、包装材の使用量を半分以下にする画期的な解決策があります。それは包装材を半透明のものにすることです。
透明の包装材はポリプロピレンやポリエチレンですが、半透明の包装材はハイデンと呼ばれます。これはポリプロピレンやポリエチレンと比べ、厚みが半分以下なので、石油量を半分以下に抑えられます。ハイデンは薄くても丈夫なので、破けることもほとんどありません。
もし、すべてのクリーニング業者が包装材を透明なものからこのハイデンに変更すれば、それだけで包装材の使用を半分以下にすることができます。
業界を挙げて包装材をハイデンにすることを推奨し、プラゴミを減らすという、世界的な動向に協力しましょう。
透明な包装材、ポリプロピレンとポリエチレンとのハイデンの重量比較。ハイデンは従来品の半分以下しかプラスチックを使用しないことがわかる
見栄っ張りなクリーニング業者
半透明の包装材、ハイデンは、数年前から登場し、一部業者は使用していますが、たいていの業者は透明のものに戻しています。理由は、やはり透明の方が見栄えがいいからです。
しかし世界の情勢を考えれば、つまらない見栄は捨て去り、プラゴミ削減に協力すべきでしょう。ハイデンが登場した時期と、現在ではその意義が全く違います。クリーニング業者だけが世界情勢から背を向けるわけにはいきません。半透明包装材の普及を推進していきましょう。消費者の方々も、半透明の包装材にご理解をいただければ嬉しいです。
ハイデンで包装されたクリーニング品
クリーニング業者は包装材をハイデンに変更しましょう