クリーニング業界の正常化を

 NPO法人クリーニング・カスタマーズサポートは、日本のクリーニング業界の正常化を目指し、有志で結成された団体です。

 クリーニングは、多くの人々が利用される極めて日常的な商売です。しかしながら、近年はクリーニング業界内の過当競争により、正しいサービスが提供されているといいがたいことも多くなっています。そこで、私たちはクリーニング業界を見渡し、多くの方が安心してクリーニングをご利用いただくようにしたいと考え、団体を設立致しました。

 明治維新以降、西欧から日本にクリーニング技術が伝わりました。当初、職人の仕事として広がったクリーニングは、すぐに日本中に広まりました。昭和32年には組合の結成も始まり、昭和30年代には、全国のクリーニング業者達は全ク連という一つの組織の中にまとまっていました。

 昭和40年代に入ると、生産性の高い洗濯機や仕上げ機が製造され、大規模なクリーニング工場も次々と登場しました。業界に大手業者が登場すると、彼らは価格を低くし、工場の街中に取次店をたくさん作りました。組合系の既存業者はこれに対抗して法規制などを仕掛け、業界には個人経営の小規模業者と大手業者との対立構図が生まれました。

 その後も大手業者は会社を拡大させ、今度は大手業者同士の競争が始まります。この競争はもっぱら価格競争が中心で、各業者はしのぎを削って市場争いを始めました。ここに燃料費や資材の高騰、取次店から直営店への移行、テナント入店している小売店の干渉、さらには平成4年をピークとしてクリーニング需要は下降しており、各社の経営はなかなか大変になってきました。

 特に、平成5年頃より、大手クリーニング会社の営業方法は、それまで主体だった取次店方式から、直営店方式にどんどん変わりました。直営店は、スーパーマーケットやショッピングセンターへのテナント店舗が多くなりました。この頃から、厳しい競争を背景として、価格競争に耐えられず、問題のある行為を行うクリーニング会社が登場してきたのです。

 1999年には「洗ってないクリーニング」の存在が雑誌に書かれ、2002年には効果の怪しい加工の記事が週刊誌に内部告発されました。2009年には行政に虚偽申請を続け会社を大きくした業者が新聞で摘発されています。2013年には大手業者の様々な追加料金が月刊誌に糾弾されています。クリーニング業界の問題は、業界内に浄化作用がなく、外部のマスコミから指摘されて発覚するケースが多くあります。

 勿論、クリーニング業者がすべからく不正に手を染めているわけではありません。素晴らしい方々もたくさんいます。しかしながら、「悪貨は良貨を駆逐する」の例えどおり、誰かが何か問題行為を始めると、あっという間に業界に広がってしまう傾向があります。そうなると、消費者にも迷惑がかかるのは必然です。

 こういう現状は何とかならないのでしょうか?本来であれば、クリーニング業を管轄する厚生労働省の直轄団体、全ク連(全国クリーニング生活衛生同業組合連合会)が動き、問題解決に当たるのが普通です。何度もマスコミに問題点を糾弾されているのであれば、当然そうなるでしょう。ところが、全ク連には大手業者達を組合から排除してきた歴史があり、現在、隆盛を極めている大手業者はほとんどが組合員ではなく、何もできないのです。また、2009年に話題となった建築基準法問題にいたっては、全ク連の所属組合員達の多くが違反状態である有り様で、とても業界改善などできないのです。

 このNPO法人では、こういったクリーニング業界の問題点を踏まえ、以下のような目標を持って行動していきたいと考えています。

1,消費者の保護

 現在のクリーニング業界は、低価格競争などによって怪しげな商法、法律にも触れると思われる手法が横行し、それが結果的に消費者に迷惑をかける結果となっています。この団体では、そういった問題を取り上げ、不正な手口などを広く公表することにより、消費者を不当な追加料金などから保護していきたいと思います。

2,クリーニング業運営の健全化

 一時は16万軒あったクリーニング店も現在では12万軒に減少し、需要ダウンの中、この商売を諦める人たちも増えています。厳しい運営を余儀なくされている業者も多くいます。しかし、そういう人たちは案外簡単な理由で行き詰まっている場合が少なくありません。多くの同業者が安心して仕事を続けられるよう、応援したいと思います。

3,クリーニング労働者の保護

 多くの人々が毎日、クリーニング工場や店舗で働いていますが、その環境や処遇は必ずしも良いものではありません。営業時間が長く、低価格でたくさんの品を集めなければならず、決まった時間まで仕上げなければならないなど過酷な条件が多く、そこで働く人たちは苦労が多く、サービス残業も少なくないといわれています。あまり良くいわれることのない外国人研修生も多く働いています。

 クリーニング業界では、今までほとんど労働者の待遇について語られてきたことはありません。ひどいサービス残業の話も聞かれます。この団体では、クリーニング業界で働く人々を考え、サービス残業をなくし、安心して働いていける環境作りを目指します。

 

NPO法人クリーニング・カスタマーズサポート

理事長 鈴木和幸