相次ぐ大地震  街にあふれる違法で危険なクリーニング店

相次ぐ大地震は大丈夫か!?

 街にあふれる違法で危険なクリーニング店

 kasai

 輪島市で発生した火災。地震は火災を誘発する可能性が高い

いつか必ず来る大地震

 2024年元旦、午後3時頃、私たちのスマホが突然けたたましく鳴った。「地震です!地震です!」・・・。2024年は能登沖の大地震で明ける不吉な年となった。この地震は半島特有の地理的な要因も重なり、大変な被害となっている。特に輪島市の朝一広場では大規模な火災が発生、焼け跡から人骨が見つかるなどしている。

 2011年の阪神大震災以来、熊本、大阪、そして東北に二度、すさまじい被害をもたらす大地震が頻繁に発生するようになり、いずれも大きな被害をもたらした。これに加え、首都直下型地震、南海トラフ地震など、今後必ず起こると言われる地震も心配だ。地震国日本では、どこにいようと地震のない地域はない。せめて、いつか必ず来る地震災害に備え、被害が最小限で済むよう、危険因子をできるだけなくしていく必要性があるだろう。

 

街にあふれる違法操業のクリーニング店

 そういう現在の日本で、大地震が起きたら大変危険な存在が放置されている。それはクリーニング店。国内におよそ24000軒あるクリーニング所(作業が行われる作業場やクリーニング工場など。受付だけの取次店は除く)のうち、4割以上が建築基準法に違反して違法操業を続けている。

クリーニング所のほとんどで、引火性の石油系溶剤によりドライクリーニングが行われている。この石油系溶剤が約200リットル入ったドライ洗濯機は引火すると爆発的に燃え上がり、家の全焼は免れず、延焼の危険性も十分にある。

建築基準法では、ドライクリーニングに使用する引火性溶剤の使用を工業地のみに限り、商業地、住宅地での使用を禁止している。ところが、全体のなんと4割以上が違法操業をしている。違法操業に手を染める業者は地方よりも特に首都圏や大阪など都会に多い。特に東京は違法操業の業者が圧倒的に多いのである。

 単独の火災でも危険なのに、違法操業クリーニング店の蔓延する大都市に大地震が発生したらどうなるか。クリーニング店は大規模火災事故の牽引役になってしまうだろう。1995年の阪神大震災では大規模な火災が発生し、1923年の関東大震災で亡くなった方の9割の死因は焼死だった。大都市での地震による火災はそれだけ危険である。

 

法律を守らないクリーニング業者たち

 クリーニングの建築基準法問題は2009年に始まる。この年、売り上げ業界二位、三位のクリーニング業者が相次いで建築基準法違反で摘発され、この業界で違法行為が蔓延していることを問題視した国土交通省は翌年、全国に約三万軒(当時)ある全クリーニング所を調査した。その結果、全体の50.2%、14400軒以上が違法操業であることが判明した。この業界ではなんと違法業者が多数派なのである。

 人がたくさん集まる商業地、住宅地で工場兼店舗のクリーニング所を営業すれば、利益率が抜群に高くなる。それは法律違反だと知りつつ、クリーニング業者たちは少しずつ違法に手を染め、結局大多数が違法操業状態となっていったのである。

 ところが、それから14年過ぎた現在でも違法操業を繰り返す輩が多くいる。違法と知って合法化したのは全体の2割に過ぎず、大半が平気で違法操業を続けているのである。行政は、違法業者への強制執行を行っていない。これには全国クリーニング政治連盟なる政治団体が政治家に裏で頼んでいるとか、現状維持しか考えない行政がいつまでも改善までの「猶予期間」としているなどの、「変わらない悪しき日本」的な事情もあるが、もともと違反がなかったり、ちゃんと改善した真面目な業者が馬鹿を見るという典型でもある。

 建築基準法違反の業者は現時点で14年間も違法操業を継続し、違法な利益を得ている。日本では誰か犠牲者が出ないと物事は変わらないといわれる。この問題も、大地震が来て多くの犠牲者が出ないと悪質な業者の違法操業は続いていくだろう。

 

一刻も早い是正を

 こんな中、2023年より状況がわずかに動いた。2021年に土石流事件が起きて犠牲者が出た静岡県で、クリーニングの違法操業もこれ以上の猶予期間はないとしたのである。

 そもそも猶予期間が14年続くなどというのはおかしい。静岡県の判断が特別なのではなく、これが当たり前であり、他がおかしいのである。各自治体の行政(都市計画課や建築指導課)は各クリーニング所において違法か違法でないかを的確に把握している。それでいて全く動かないのは、何かの力が加わっているとしか考えられない。政治が絡んでいるのなら、この問題は違法行為や不正が、票につながるから許されるといった旧統一教会問題と構造上何ら変わらない。

 とにかく、地震はいつ来るかわからない。違法操業が一番多いのが東京で、二番目が神奈川、三番目が大阪と違法操業は人口が密集する大都市に多い。14年も違法操業させたのだからいい加減にしてほしい。一刻も早く是正し、公平な市場をもたらしてほしい。

 今のままでは、大地震発生の後、大勢の犠牲者が出て、「あのとき、止めておけば良かった」となるに違いない。

 

この問題に関する資料 

image006

 

2009年7月11日、大手クリーニング業者の建築基準法違反が摘発された。しかし建築基準法違反箱の業者だけではなかった

image010

2009年12月27日、さらに別の業者も摘発された。これにより国土交通省は日本中の全クリーニング所の調査を開始した。

半数違反

2010年9月11日、国土交通省の調査が終わり、全体の50.2%が違法操業であると公表した。クリーニング業界は違反の方が合法より多い異常な世界であることが判明した。東京、神奈川、大阪など大都市に違法操業が多いこともわかる

B

 

東京都クリーニング生活衛生同業組合が組合のクリーニング業者を調査した結果を報じる業界紙。住宅地、商業地での石油系溶剤使用は法律違反であり、これを見るだけでかなりの業者が違法操業していることがわかる

F 20180722読売

2018年7月22日、いまだに多くの業者が違法操業していることを報じる読売新聞の記事。よく読むと違法操業の業者が火災を起こしても責任を感じないとか、鹿児島の業者が改善して合法化したら生活衛生同業組合をやめさせられたとか、クリーニング業界のあくどさが垣間見れる記事である